探偵ストレイドッグス
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第10話
「はぁ?ぜってぇ無理だろ!!」
ある日の午前中、諸伏の叫び声から始まった。
「FBIは何考えてんだ!?そんなの自殺行為だろ!?」
本日そろいもそろってなぜか非番だった萩原、松田、伊達がDMOに到着するとなにやら大騒ぎしている諸伏と不安そうな宮野夫妻がいた。
「おいおい、なんか騒がしいな。」
「諸伏が一人暴走状態なんて珍しいな」
「何かあったのか?」
「あぁ・・・よく来たな。これから少し頼みたいことがあってな」
まぁ、今の状況の内容なんだが・・・・・
国木田がそう前置きをおいて話し出した。
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さかのぼること前日の深夜
「呼び出してすまない」
「別にかまわねぇが、お前が呼び出すことなんか初めてじゃねぇか」
とある横浜内の倉庫にて、二人の男が向き合っていた。
「あぁ、ちょっとトラブルがあってな。そっちにも知らせとこうと思って。来てくれて助かったよ。中原」
さすがにバーボンに直接話すわけにはいかなくてな。そう語るのは黒の組織に潜入しているはずの男赤井だった。
「何があった。やばそうなのは感じてるんだが。」
「実はな・・・・」
赤井から聞いた話は衝撃的だった。
今から1週間後ジンと取引任務を受けることになっている。それに乗じて捕まえる計画が上層部から伝えられたんだが、
取引相手が誰なのか、何を取引するのかもわかんないまま突っ込むことになってしまっている。
しかもこちら側の人員も一応知っている人間もいるが顔も名前もわからない人も大勢参加することになっている。
「・・・・・はっきり言ってそんな計画成功するわけないだろ」
「あぁ、私もそう思う。おそらく今回の件で自分の正体は露呈するだろう。もちろん死んでやる気はないが、組織にはいられない。」
「お前の恋人は宮野夫妻の娘さんだったよな。どうするんだ。このままじゃ彼女も・・・・」
「正直元・なんだがな。あいつは妹を残して自分だけ逃げようとはしないだろう。」
そこで頼みがある。
「元恋人として、親類としてあの姉妹を死なせたくない。頼めるか・・・・」
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「・・・・・・・というわけなんだが」
話が終われば空気が重い。
諸伏は頭抱えてしまっていた。
「ジンの話は出てきていたけど聞く限り大丈夫なのか?」
「死なずに脱出することも危険だろうし」
「ま、できなくはないけどね」
あっけらかんという太宰を一斉に見る。
「といっても、これをするのは翼なんだけどね・・・・・」
「自分の魔法は姿を見せなくても離れていてもできるから」
「あぁ・・・・なるほど」
「といっても今回俺たちがするのはあくまで取引がうまくいかないようにすること、そしてあわよくば幹部クラスは無理だとしても下っ端レベルを捕縛すること。」
そこまで聞いて何やら考え込んでいた松田は
「・・・・・なあそれ俺らは何かやることあるか?」
「っ!!松田!?」
「あぁ確かに俺も魔法使えるようになってきたもんね。最近は翼くんにも習っているし」
「萩原までっ!!危険なんだぞ!!」
「落ち着けよ諸伏。さっき太宰も言ってたじゃねぇか。姿を認識できないようにかなり離れた所から能力を使うって。だよな?」
「そうですね。そもそも私たちも今後も危険な目にあう可能性があるようなことは排除しています。こちらから手を出す場合は絶対に姿を認識させないことを前提にした場合のみ。」
「あきらめろ諸伏。俺らだってお前らに協力するといった段階で危険は承知しているんだぜ?」
「伊達まで・・・・・・」
「おぉ?ということは伊達も参戦か?」
「あぁ、といっても俺は邪魔係ではなさそうだがな」
そういって伊達は太宰を見る
「えぇ、伊達さんにはこちらが邪魔した後の騒ぎを聞きつけ駆けつける役です。」
「ま、妥当なところだな。いきなり公安は動かないから第一次は刑事部だろうし」
「俺ら爆弾処理班は爆弾なきゃ動かない部署だし」
「じゃあ当日の位置取りも含めていろいろ詰めようか・・・・」
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当日、取引が行われる倉庫から若干離れた所に邪魔者集団が陣取っていた。
「そういや、結局降谷はなんか言ってたのか?」
「諸伏を通じて、容赦はするな、どんどんやれと」
「降谷さんらしいですね」
「あいつは諸伏見たく危険だなんだでしり込みしないやつだ。むしろ一度吹っ切れば使えるものは何でも使うタイプだからな」
「というか、あいつ俺らが邪魔するだけって知ってるのか」
「刑事が人体に攻撃しちゃまずいでしょ」
後日このことを知った降谷は初めこそ大事な明美を危険にさらしやがってと怒りを見せてはいたが経緯を知って立場は違えど組織に属するもの同士上のいうことは絶対というのはわかっていたためそれ以上は何も言わなかった。
「にしても諸伏も心配性だよな。スカラを2度かけするなんて」
「この場にこれない分余計に心配しているんですよ。あと、いけなくてもサポートぐらいはしたいとも思いますし」
谷崎は苦笑いで答える。
諸伏はこの場にはいない。いくら警察内部の掃除が終わったとしてもさすがに黒の組織が大勢陣取る場所に連れてくることはできないのだ。
今この場にいるのは谷崎、翼、萩原、松田の4人だ。ちなみに今は念には念をと谷崎の“細雪”に隠れている。
「・・・・・・・赤井さんから連絡来たよ。やっぱり失敗だって」
「了解。【イオ】」
「んじゃ俺も、【凍える吹雪】」
「【大地の怒り】」
倉庫内は大騒ぎである。いたるところから爆発音、季節外れの吹雪、倉庫内のみの地震、時折突風が吹き荒れ炎を巻き上げ竜巻が起こり、豪雨も起こっていた。ちなみに豪雨は別地点で念のための治療班として待機していた麻生の仕業である。
この大騒ぎに予定通り伊達班、そして目暮班が駆け付けて収束を図る。その際どさくさにまぎれ伊達も雷を落としたのは余談だ。
護送車を安全地帯だと思ったのか自ら乗り込むものもあらわれ予定人数より大幅に捕縛できたのはうれしい誤算である。ジンはウォッカに先導され何とか脱出した。その姿を望遠鏡を使い見つけた松田が火の粉を頭に落としアフロヘアにしたのも余談である(ちゃっかり翼が写真に収めていた)
「赤井も無事に脱出できたそうだ」
「それは邪魔したかいがあったな」
「赤井さんが入手したデータの詳細です。」
・・・・・・・・
全員確認し一斉に黙り込む。それと同時にFBIの上が強引な作戦に出た理由も判明した。そのデータ内には大物のスキャンダル並びに自分たちの悪事も入っていたからだ。しかもその中に入っていた悪事は何もFBIのものだけではなかった。
「・・・こりゃ必死になるわけだ」
「FBIにCIAにMIC6?うわっあると思ってたけど日本警察のもあるじゃん。」
当然ながら日本のものもあったそれも上から下まであらゆる悪事が収められていたのだ。
「とりあえずFBI分は赤井さんにデータ送っときます。」
「それがいい。他の海外組織のは組合経由で送っとこう。フィッツジェランドに連絡して」
「了解です。」
「うちのはどうする?悪い奴に消されちゃたまらんでしょ」
「いくつかバックアップとっておきましょう。一つは警察に一つは異能特務課、そしてここ、DMOで最後は翼のアーカイブの中だ。万が一3つ消されたとしてもアーカイブの中は消しようがないですからね」
「ふぃ~~~さすが何でもありだね」
終息にあたった刑事部だがやはりというか頃合いを見計らって公安部が事件を根こそぎかっさらっていった。しかし、予想以上に捕縛した人数が多かった点、事件を知る伊達がいるとしても目暮のもと想像以上に事件の収束が迅速だった点からかなりの報償が与えられた。これは種田長官の案だがこれを受け入れるあたり公安も歩み寄ろうとしているのかもしれない。
後書き
赤井のNOCバレの件
後天性の魔法なら使えるようになる人もいます。
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