猫は何があっても生きる
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第一章
猫は何があっても生きる
ハリル=アクユレック救命医でありトルコのイスタンブールのオゼルアクギュン病院という総合医療病院で勤務している彼はその話を聞いて驚いた。
「それは大変だ」
「はい、ですからすぐにです」
病院のスタッフが初老で髪の毛が一本もなく白い口髭と顎髭が似合う逞しい顔つきと体格の彼に話した。
「助けないといけないです」
「その猫はうちの入り口でか」
「うちの病院回転ドアですから」
「そこに挟まれてか」
「それで瀕死の状態なんです」
「回転ドアを潜って中に入ろうとしてか」
「気付かない人が通った時に間が悪く挟まって」
そうなってというのだ。
「今大変です」
「猫はムハンマドも愛されている生きものだからな」
アクユレックはムスリムとして言った。
「だからな」
「絶対にですよね」
「ああ、助けないとな」
こう言ってだった。
アクユレックはすぐに病院の入り口に向かった、するとそこにはもう人は集まっていてそうしてだった。
猫を見ていた、猫は痩せた白猫で病院の入り口のところでぐったりとしていた。アクユレックはその猫を見て言った。
「ここはやっぱりな」
「はい、救命医だからですね」
「だからな」
アクユレックは周りの者達に話した。
「こうした時はわしだからな」
「お願いします」
「結構危ない状況です」
「ぐったりして意識がありません」
「わかった、ただ獣医も呼ぼう」
アクユレックはこうも言った。
「わしは基本人間担当だからな」
「それで、ですね」
「獣医さんも呼んで」
「一緒にですね」
「こいつを助ける」
ぐったりとして動かないその猫を見て言った、そうしてだった。
獣医にも来てもらって猫を治療室に連れて行った、猫は確かに危ない状況だったがそれでもだった。
アクユエックは友人の獣医と共に猫雌である彼女を根気よくかつ獣医の助言や補佐を受けて的確にだった。
猫を手当てし治療した、それが実ってだった。
「よし、目を覚ましたな」
「そうなりましたね」
「やったぞ」
アクユレックは目を開いた猫を見て獣医と共に喜んだ。
「よく頑張ったな」
「全くですね」
「後はな」
「はい、体力を取り戻してもらいますね」
「そうしてもらうぞ」
こう言ってだった。
アクユレックはそれからも猫を診ていった、するとだった。
猫は見る見るうちに元気になり普通に歩ける様になった、そしてアクユレックはその彼女を観つつ病院のスタッフ達に話した。
「わしの家族に迎える」
「そうされますか」
「その娘を」
「そうされますか」
「ああ、名前はもう決めてある」
既にというのだ。
「ムジゼだ」
「あっ、いい名前ですね」
「ではその名前を付けて」
「これからはですね」
「わしはこの娘と家族だ、ムジゼそれでいいか」
「ニャア」
ムジゼは彼の言葉に嬉しそうに応えた、そして傷が完治して退院するとそれと共に彼の家に入った。
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