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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百十五話 鷲塚、小次郎を気遣うのことその七

「僕達にも任せて」
「案ずるな。御前はこの世界では死なない」
 また言う守矢だった。
「何があろうともな」
「兄さん、楓・・・・・・」
「わかったのなら今は休もう」
「何か食べようよ」
 楓は少し明るくなって姉に提案した。
「餅でもどうかな」
「米の餅だ」
 あの麦の餅ではなくそちらだというのだ。
「それを食べるとしよう」
「そうね。お餅をね」
「じゃあ皆も呼んでね」
 楓はさらに明るい調子で姉に告げた。
「楽しくやろうよ」
「わかったわ。それじゃあ」
 月も微笑みになった。そうしてだった。
 彼女は考えを少しずつだが変えようとしていた。犠牲というその考えを。
 孫権はあかりにだ。自分の天幕の中で常世についての話を聞いていた。
 そうしてだ。こう言ったのである。
「つまり冥府というのね」
「それも地獄やな」
 それが常世だとだ。あかりは孫権に話す。
「生きてる間碌でもないことしてた奴等が行く世界や」
「そうよね。それって完全にそれよね」
 共にいる孫尚香も言う。
「悪人が行く場所なんだから」
「若しもですよ」
 周泰もあかりの話を聞いて言う。
「常世と私達の世界がつながったらそれこそ」
「そや、周泰ちゃんの言う通りや」
 あかりは周泰の心配する顔に応えてまた言う。
「悪霊がわんさと来るようになるんや」
「世界は終わりじゃな」
 そこまで聞いてだ。黄蓋も顔を強張らさせている。
「絶対に許してはならんのう」
「ああ。だから月さんも必死なんだよ」
 十三もそのことを話す。
「あの刹那を封じようってな」
「事情はわかったわ。それでだけれど」
「それでっちゅうと?」
 あかりは孫権の話に応える。
「以前姉様を狙った紫鏡という男は」
「あれは只のゴロツキなんだよ」
 彼のことは漂が話す。
「新撰組くずれのな」
「新撰組はあれよね」
 孫尚香がまた問うた。
「鷲塚のおじさんとか小次郎とかの」
「ああ。まあ壬生狼っていってな」
 漂はここから話す。
「京の都を取り締まる。そんな連中なんだよ」
「うち等の時代から先の。草薙とかの世界でいうとや」
 どうかとだ。あかりが説明する。
「あれやな。ちょっと強い警察っていうか」
「憲兵っていうのか?あれは」
 十三はそうした組織も話に出す。
「そうした連中だな」
「何となくはわかりました」
 呂蒙が応える。
「兵達の中での監視役ですね」
「そうなるだろうな」
 漂は少し考えてからまた述べる。
「新撰組についてはな」
「それでよね」
 新撰組の話を聞き終えてからまた言う孫尚香だった。
「あいつ悪いことしてその新撰組を追い出されたのよね」
「そや。あんな碌でもない奴やからな」
 あかりは顔を顰めさせてこう述べた。
「非道の限りを尽くしとったんや」
「それでどうして姉様を狙ったのかしら」
 そこがだ。孫権が最も考えることだった。
 
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