| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百十五話 鷲塚、小次郎を気遣うのことその四

 だが公孫賛には気付かずだ。そのまま素通りする。その二人にだ。
 公孫賛は慌てて声をかける。彼女も必死だ。
「待ってくれ、私はどうなのだ」
「むっ、貴殿は確か」
 鷲塚が最初に彼女に気付いた。続いて小次郎が。
 そのうえで二人で彼女に顔を向けだ。そして言おうとした。
 しかしだ。どうしても名前が出ずにだ。
 お互いで顔を見合わせてだ。こう言い合うのだった。
「何処のどなただったのか」
「思い出せないな」
「我々の世界の者でもない様だが」
「一体何者なのだろうか」
「公孫賛だ。やはり知らないのか」
「ううむ。聞かない名前だ」
「こちらの世界の御仁なのはわかったが」
 二人がわかるのはそこまでだった。それ以上はだ。
 どうしてもわからずだ。こう言うのだった。
「まことにわからん」
「何処の誰なのか」
「またか。私はこうなる運命なのか」
「それでどうなのだ?一体」
「我々に何か用があるのか」
「もういい」
 公孫賛はがっくりと肩を落として言った。
「私はどうせ。殆ど誰からも」
「気にしない」
 呂布はその彼女の肩を叩きながら慰める。
「人は必ず見せ場がある」
「あるのだろうか」
「包丁を持てばいい」
 だがだった。呂布は天然だった。
 それでだ。ついこんなことを言ってしまったのだった。
「後は弟」
「弟は大好きだが」
「それかフガフガ言うか。そうすればいい」
「そちらの方がどうしても有名になるのか」
 嬉しくもあり悲しい公孫賛だった。その彼女はともかくとしてだ。
 鷲塚と小次郎がだ。一行に言う。
「それで我等は今こうしてだ」
「陣中を見回っているのだ」
「やっぱりあれよね」
 その彼等に賈駆が応える。
「刺客を気につけてよね」
「うむ。他にはキム殿もそうされている」
「やはり見回っておられる」
「あいつとジョンやな」
 張遼はキムもそうしていると聞いて少し嫌そうな顔になった。
 そうしてだ。こう言うのだった。
「またチャンとかチョイとか連れてやな」
「うむ、そうしてだ」
「時間があればそうされている」
「修業と強制労働はそのままでやな」
 その為の時間は絶対に削らないのがキムとジョンである。
「連れて行かれる連中がほんま可哀想や」
「何というかな。我々から見てもだ」
「キム殿とジョン殿は鬼だ」
 まさにそれだというのだ。鬼だとだ。
「強制労働に修業もだからな」
「しかも深夜でも見回っている」
「ほんま鬼やな」
 張遼はかなり引きながら真顔で言う。
「何であの二人は同じことやって平気やねん」
「恐ろしく頑丈な身体らしい」
「その為だな」
 それ故にだと話す二人だった。そうしてだ。
 彼等はあらためてだ。董卓達に述べた。
「ではこれからもだ
「巡回を続けさせてもらう」
「御願いするのです」
 陳宮がその彼等に励ましの声をかける。
「そうして刺客を見つけたら頼むのです」
「承知した。それではだ」
「また」
 二人は別れの挨拶をしてから一行と離れる。そうして兵達を連れたまま陣中を巡回していく。そうしながらだ。鷲塚は自分の隣にいる小次郎にこう声をかけるのだった。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧