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どんな誕生日も特別

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第二章

「そうした日なのよ」
「それが私が生まれた日ですか」
「そう、だからね」
 弓香に優しい顔のまま話していった。
「北条さんが生まれた日も何もなかったんじゃなくてね」
「あったんですね」
「そうした日だからね」
 それ故にというのだ。
「交換することはないのよ。どんな誕生日も絶対に何かあるから」
「交換しなくていいんですね」
「そう。七夕はいい日でね」
 そしてというのだ。
「九月二十日もいい日だから」
「私このままでいいんですね」
「そうよ。どんな人もそれぞれいい誕生日を持っているのよ」
 自分が担任の小さな女の子に優しい笑顔で話した、すると彼女は二度とこうしたことは言わなかった。
 その話の後香織は翠にこのことを話した、すると翠はこう言った。
「どの日に生まれてもですね」
「そうよ、その日が特別な日だからね」
「いい悪いはないんですね」
「そうよ。一年全ての日に何かあるのよ」
 絶対にというのだ。
「だからいい誕生日悪い誕生日はないのよ」
「そういうことですね、ちなみに私五月五日生まれです」
 翠は笑って話した。
「子供の日生まれです」
「あら、そうなの」
「女の子なんですけれどね」
「それでも子供の日生まれなのね」
「そうなんですよ」
「それも面白いわね」
「そうですよね、私も特別な日に生まれて」 
 翠はさらに話した。
「他の人もですね」
「そうよ、私も十月十九日生まれでね」
「野球では特別な日で」
「それぞれよ、だからね」
「それで、ですね」
「いい悪いはないのよ、誕生日に」
「そういうことですね」
 翠は香織の言葉に笑顔で頷いた、そうして誰かが自分の誕生日を話すとこう言う様になった。そしてこのことから人間は誰もが同じという考えを強くした、誰もが同じく誕生日に何かがあったのだから。


どんな誕生日も特別   完


                  2022・3・22 
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