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展覧会の絵

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第二話 吸血鬼その十三

「だから奴等を好きな奴なんていないさ」
「左様ですか」
「で、名前な」
「奴等の名前言うな」
 クラス、学部からその話題になった。いよいよ本題だ。
 その本題になるとだ。十字の目もさらに真剣なものになる。そのうえで先輩達の話を聞くのだった。
「茶髪の奴が一川ってんだよ」
「一川ですか」
「ああ、それで禿、スキンヘッドが菅でな」
 次はあの男の名前だった。
「赤髪が鳩山」
「そんでデブが山岡っていうんだ」
「それが彼等の名前ですね」
「ああ、これでわかったか?」
「覚えてくれたか?」
「顔も名前もクラスも」
 全てだ。頭の中に入れたというのだ。
「よく」
「ああ、あまり係わり合いにならない方がいいぜ」
「とにかくとんでもねえ奴等だからな」
 先輩達は今度は十字に警告してきた。
「本当にバックにヤクザでもいたら厄介だからな」
「洒落にならないからな、それは」
「ヤクザ。日本のマフィアですね」
 ヤクザと聞いてだ。十字はこう述べた。
「その彼等についてですが」
「教会とヤクザは関係ないだろ」
 先輩の一人が十字にこんなことを言った。
「っていうかマフィアとはな。無関係だろ」
「だよな。神様に仕える人達とヤクザとかな」
「全然結びつかないよな」
「そういう訳でもありません」
 先輩達の教会とマフィアは無関係であるという主張はだ。十字は否定した。
 そしてそのうえでだ。こう話すのだった。
「マフィアにも信者はいますし。それにです」
「それに?」
「それにっていうと何だよ」
「悪だからこそ」
 こう言った。その瞬間にだった。
 十字に何かが出て来た。それは冷たい気だった。
 銀色の、氷の様に冷たくそれでいて熱くもある。氷と共に白い炎もある。それを見せてだ。
 彼はだ。先輩達に話すのだった。
「神は裁かれてもいますし」
「?おい何だよ」
「急によ」
「急に様子変わってないか?」
「一体どうしたんだよ」
 そのことにだ。先輩達も察してだ。
 そのうえでだ。こう十字に問うたのだった。
「御前この前も何か急に変わったけれどよ」
「何ていうかやばい考え持ってないか?」
「いってる考えをよ」
「いえ、別に」
 それはないとだ。はっきり述べる十字だった。
 しかしだ。その中に確かに白いものを宿らせてだ。そしてだった。
 彼はだ。また先輩達に話した。
「では、です」
「ではって?」
「今度は何だよ」
「彼等のことはわかりました」
 そのだ。四人のことはというのだ。
「有り難うございます。それでなのですが」
「ああ、俺達がわかるのはここまでだぜ」
「知ってるのはな」
「まあ屑連中っていう位だな」
「まずはそれだけわかればです」
 充分だと述べるのだった。そのうえで先輩達に身体を向けてだ。
 そしてだ。また言うのだった。
「有り難うございました」
「何かよくわからないけれどこれでいいんだな」
「俺達の知ってるだけのことを言って」
「こんな感じで」
「はい、有り難うございます」
 一礼した。そのうえでだった。
 彼は先輩達と別れた。そのうえでだ。
 彼はその日は学校では日常を過ごした。そうしたのだ。
 だが教会に戻るとだ。すぐにだった。
 神父に対してだ。こんなことを話したのだった。
 彼はあの白い枢機卿、本来は紅い筈のその服を着てだ。その服で礼拝堂にいてだ。そのうえで神父に対してだ。礼拝堂の主の前で向かい合って話すのだった。
 
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