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FAIRY TAIL もう一人の滅竜魔導士「氷竜」

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呪歌(ララバイ)

 
前書き
すっかり忘れてた!!ハーメルンじゃエドラス入ってるのにこっちじゃ鉄の森って…やっべー… 

 
『妖精の尻尾ギルド内』

「うーん...魔法の腕輪探しに呪われた杖の魔法解除...占星術で恋占い希望!?火山の悪魔退治!?」

ルーシィは、掲示板の前で仕事を探しながら唸っていた。

「へぇー、依頼って色々あるんですねー」

「シャクシャク...気に入った仕事があればミラに言えばいいよ、今はマスターが定例会でいないからな」

フェアリーテイルの特製かき氷を食べながら、リートがルーシィにそう伝える

「定例会?」

「地方のマスター達が集まって定期報告をするのよ」

ミラが、理解できていないルーシィに定例会について話す。

「へぇー、ギルド同士の繋がりがあるなんて知らなかった」

「これをおろそかにしてるとな...」

「黒い奴らがくるぞぉぉぉ!」

「ひぃぃぃ!」
ナツがルーシィを後ろから驚かし、その状況をリート達は呆れた顔で見ていた。

「ひぃぃぃ!だってよ!うひゃひゃひゃ!」

「ビビりなルーシィ!略してビリィーだね!」

「あらあら、レディを驚かせるなんて紳士のすることじゃありませんわよ」

「もぉ!脅かさないで!そしてハッピーも変な略称つけるな!」

「なにしてんだか...」

「でもね、黒い奴らって実際にいるのよ」

「あぁ、闇ギルドっつってな、あいつら法律無視するからたまったもんじゃねぇんだ」

「へぇー、あんたもいつかスカウトされそうね」

ルーシィがナツを見ながら言うが、ナツは気にも止めていなかった。

「つーか早く仕事選べよ」

「前はオイラ達が勝手に決めちゃったもんね」

「冗談!リートやラリカはともかく、あんた達とは解消に決まってるでしょ!」

「何で?」
「あい?」

「当たり前だろ...」
「当然ですわね、あ、ミラ お紅茶のおかわり頂けます?」

その状況を見つつ、リートは呆れ、ラリカは紅茶を楽しんでいる。

「だって、リートやラリカは知らなかったからまだよしとして、あんた達金髪なら誰でもよかったんでしょ?」

「何言ってんだ?その通りだ!」

「否定しろよそこは!」

「でも、ルーシィを選んだんだ!いい奴だから!」

「こういうところはストレートだなこいつ」

そこにパンツ一枚姿のグレイと、サングラスをかけたロキがやって来た。

「なーに無理に決めることはねぇさ、聞いたぜ大活躍だってな、きっとイヤって程誘いが来る」

「ルーシィ、僕と一緒に愛のチームを作らないかい?今夜二人で」

「イヤっ」

「...イヤって程ってそういう意味じゃなくね?」

グレイとロキもリート達の会話に混ざり、話しを進める。

「南の狼二人にゴリラ女を倒したんだろ?すげーや実際」

「それ、リートとナツですわよ?」

ラリカがグレイに説明すると、グレイは目の色を変えてナツに殴りかかる。

「てめぇかこの野郎!!」

「文句あっかぁおお!?」

「リート!お前からも何か言ってやれ!」

「オレに振るなよ...」

ナツとグレイはケンカを始め、その間にロキはルーシィへのナンパを続けていた。

「君ってホントに綺麗だよね、サングラスじゃなかったら目が潰れちゃってたなハハハ」

「潰してさしあげますわよ?」

「ハハハ...冗談だよ...冗談...」

ロキは、容赦なく目潰しを実行しかねないとラリカに対して怯えてしまう。そして、ロキがルーシィの腰についた鍵を見て顔を青ざめさせた。

「!?ルーシィ!君は星霊魔導士なのかい!?なんたる運命のイタズラ!すまない!僕たちはここまでのようだ!」

ロキは慌ててルーシィから離れ、ギルドの出入り口へと走って出ていった。

「何か始まってましたの?」

「何も始まってないわよ!」

「ロキは星霊魔導士が苦手なのよ」

「私は、女の子がらみだと思いますわ」

そんな事を言ってると、ロキがギルドの出入り口から、慌てて帰って来た。

「ナツ!グレイ!まずいぞ!」

「「あ?」」

「エルザが帰って来た!!」



「「はぁぁ!!?」」




ズシィン!ズシィン!

「なにこれ!?何の音!?」

「エルザの足音ですわよ?」

「そんな恐怖感を植え付けるような言い方しなくても...」

そして、ギルドに巨大なモンスターの角らしきものを持った赤髪のロングヘアーで、鎧を着た女性がギルドに入ってきた。その女性こそが、みんなのいうエルザであった。

「今戻った、マスターはおられるか?」

「お帰り!!マスターは定例会よ」

「そうか」

「エルザさん…その…バカデカイのは…なんですかい?」

ギルドの男が、エルザの担いでいた巨大な角を指差して聞いた。

「これか?討伐した魔物の角に地元の者が飾りを施してくれてな、綺麗だったので土産にしようと思ってな、迷惑だったか?」

(絶対迷惑だ…)

リートは、かき氷を食べながらそんな事を思うが、絡まれるのを嫌い、口に出してツッコむことはしなかった。
「それよりお前達、また問題ばかり起こしているようだな、マスターは許しても私は許さんぞ」

エルザの凜とした態度に、ルーシィは戸惑っている。

「な、なんなの?この人?…」

「あい、エルザです」

「とっても強いんですのよ」

ハッピーとラリカが、エルザについてルーシィに説明していた。

「カナ、なんという格好で飲んでいる
ビジター躍りなら外でやれ
ワカバ、吸い殻が落ちているぞ
ナブ、相変わらず依頼板の前にいるだけか?仕事をしろ仕事を…
まったく世話が焼ける、今日のところは何も言わずにおいてやろう」

「いや、結構言ったぞ?今」

エルザは自分にリートの声に気が付き、声がした方へと振り向く。

「ん?リートか」

「おう!お帰りエルザ、特製かき氷...食うか?」

「お紅茶もありますわよ」

エルザを前にしても、呑気にかき氷と紅茶を楽しむ二人、普段から問題を起こしているわけではない二人は、エルザに怯える必要がなかったのだ。

「ああ、ラリカも、ただいま ありがたいがすまない、今はそれどころではないからな、また今度頂くとしよう」

「そうか」
「仕方ありませんわね」

「リートとラリカはエルザに対しても変わらないわね」

「リートはエルザと昔戦って勝った過去があるからね♪怯える事もないのよ」

ミラからそんな台詞を聞いて、ルーシィが驚愕した。

「えっ!?リートってあの強そうな人に勝ったの!?」

「ん?あぁ、って言っても昔の話しだし、エルザも当然強くなってるからな、今戦ったらどうなるかは分からねぇよ」

「いや、今でも私よりリートの方が強いと思うぞ、それよりリート、ナツとグレイはいるか?」
「?ん」

リートは、ナツとグレイが喧嘩していた方向を、スプーンで指す。

「や…やぁエルザ...俺達今日も仲良し…よく…やっ…やってるぜぃ…」

「あいっ」

ガタガタと震えながら、ナツとグレイは肩を組み冷や汗を垂らしながらエルザを見ていた。

「ナツがハッピーみたいになった!?」

「ブッくっくっくっ」

リートはナツ達から視線を剃らせ、肩を震わせて笑いを必死にこらえている。

「そうか、親友なら時には喧嘩することもあるだろう、しかし私はそうやって仲良くしているところを見るのが好きだぞ」

「いや…いつも言ってるけど…親友って訳じゃ…」

「あいっ」

「こんなナツみたことないわ!!!」

「ブッ!!」

リートは笑いを堪えるのが限界だったのか、その光景を見て噴き出してしまう。

「ナツもグレイもエルザが怖いのよ」

「えぇーっ!」


「ナツは昔、エルザに喧嘩を挑んでボコボコに」

「あのナツがぁ!?」

「うん、そしてグレイは裸で歩いてるところを捕まってボコボコに」

「自業自得だろ」

「ロキはエルザを口説いて半殺しに」

「ロキに至っては情状酌量の余地はありませんわ」

「フフッ」

ミラは笑って話していたが、ルーシィにとっては余程驚愕の事実だったのか表情にでていた。

「二人とも仲が良さそうでよかった、実はナツ、リート、グレイに頼みがある」

「?」

「仕事先で少々厄介な話しを耳にしてな、本来ならマスターの指示を仰ぐところだが、早期解決が望ましいと私が判断した。三人とも力を貸してくれるな?」


「「「!?」」」


エルザの発言に、ギルド内がざわつく。

「シャクシャク...オレはいいよ、エルザには色々と恩もあるし何より面白そうだし」

エルザの頼みを、リートは快く了承した。

「出発は明日だ、用意しておけ、詳しくは移動中に話す」

「いやっ!」

「行くなんて言ったかよ!?」

しかし、リートとは対称的に、ナツとグレイの二人は嫌そうにしている。

「…エルザとリートとナツとグレイ…今まで想像したことなかったけど…これってフェアリーテイル最強チームかも…」

新たなチームができて、ミラの発言を聞いたリートは、ため息を吐く。

「…んなバカな…」

・・・

「無理だ...こいつと一緒ってだけでもウゼェのに!エルザが一緒なんて!!」

「こんなチームあり得ねぇ!つーか行きたくねぇ!」

嫌がるグレイとナツを、リートは呆れ顔でみている。

「じゃあやめるか?オレはいいけど、もし行かなかったら、ナツもグレイもエルザに何されるだろうな」

「脅すのかよ!!」

現在一番使える脅し文句を持っているのは、リートだった。


・・・

『魔導士ギルド、鉄の森』

「…カゲヤマはまだ戻らねぇのか?」

鎌を持った一人の男、エリゴールが部下にそう聞いた。

「アレの封印を解くのは簡単じゃねぇ、仕方ねぇよ」

そして、エリゴールの質問に別の男が答えた。

「モタモタしてんじゃねぇよ、今が好機なんだぜ、ジジイ共が定例会をしている今が...」


・・・

「なんでエルザみてーなバケモンが、オレらの力を借りてぇんだよ!」

「知るかよ!つーか助けならオレとリートで充分なんだよ」

「じゃあお前一人で行けよ!!オレは行きたくねぇ!!」

「じゃあ来るなよ!!後でエルザに殺されちまえ!!」

エルザが来ていない駅のホームで、ナツとグレイはずっと喧嘩を続けていた。

「「迷惑だから(やめなさい)(やめろ)!」」

あまりの騒ぎように、リートとルーシィの二人がツッコミをいれるが、リートはそれよりもルーシィが自分達と一緒にいることが気になったようだ。

「ってかなんでルーシィもいるんだ?」

「ミラさんに頼まれたのよ」


【確かにあの4人が組んだら素敵だと思うけど、仲がギクシャクしてるところが不安なのよね、特にナツとグレイが、
リートだけじゃ大変だと思うし…ルーシィついていってリートと仲を取り持ってあげてくれる?】

「だって」

ガシッ!

「え?なに!?」

リートは、ルーシィの肩を掴んで見たこともない表情で泣いていた。

「ルーシィ~ミラ~ありがとう~オレ1人じゃとてもとても」

リートは、涙を流しながらルーシィに礼を言う。

「う、うん とりあえずあんたが今まで苦労してたのは今分かったわ…」

「一緒にいきたかったんだ」
「ですわね」

ハッピーとラリカが、ルーシィが同行したかったと推察する一方で、

「てめぇ、なんで布団なんか持ち歩いてんだよ」

「寝るために決まってんだろアホかお前」

やはりというべきか、ナツとグレイの喧嘩は続いていた。

「「…めんどくさっ…」」


・・・

「冗談じゃねぇ!なんでこんな面子と出掛けなきゃならねぇんだ、胃が痛くなってきた…」

「諦めろぉグレイ」

「つーかなんでルーシィがいるんだ?」

「お前一連の会話聞いてなかったの!?」

そして、ようやくエルザが大量の荷物を持って、リート達の下にやって来た。

「すまない、待たせたか?」

「荷物、多!!」

「そんなに持ってくもんあるかよ!」

「ん?君は昨日、妖精の尻尾にいたな」

エルザは、見知らぬ顔のルーシィに気がついた。

「新人のルーシィだよ、今回の依頼に同行してくれるんだとさ」

「ルーシィです、よろしくお願いします」

「私はエルザだ、よろしくな、そうかギルドの連中が騒いでいたのは君のことか、傭兵ゴリラを倒したとか、なんとも頼もしいな」

「色々混ざってるし、多分それやったのオレとナツのことだぞ」

「今回は色々と危険な橋を渡るだろうが、その活躍ぶりなら平気そうだな」

「ねぇ、それ多分オレとナツだって言ってんじゃん、オレの話し無視?ねぇ」

エルザ達が話していると、ナツはグレイとの喧嘩をやめ、真剣な表情でエルザに話しかける。

「何の用事か知らねぇけど、今回は条件付きでついていってやる」

「条件?」

条件と聞いて、リート達はナツの言おうとする事を察していた。

「あっ、このバカまさか」

「バ!バカ! エルザ!オレはエルザの為なら無償で働くぜ!!」

「そこまでいくともう奴隷だな」

「落ちるとこまで落ちましたわねグレイ」

「ナツ、言ってみろ」

ナツは真面目な顔をして、条件を言った。

「帰ったらオレと勝負しろ、もうあの時とは違うんだ」

「やっぱりか...」

「!!」

「オ、オイ!はやまるな!死にてぇのか!!」

「確かにお前は成長した。私はいささか自信が無いが、いいだろう勝負してやる」

「自信がねぇだと!?本気で来いよな!」

「わかっている、だがお前は強いと、そう言いたかっただけだ」

「グレイ、お前も勝負するか?」

グレイは首を全力で横にふり、勝負を断った。

「リートはどうだ?私は個人的にはリートとも久しぶりに手合わせしたいが」

「オレ?まぁいいけど帰ってからじゃなくてもいいよ、その内にな」

リートがあっけらかんと答えると、エルザは少しだけ笑う。

「フッ、リートらしいな」

「おしっ!!!燃えてきたぁ!!!」

ナツの顔が燃え上がり、やる気が出ていることが見てわかる。
その後、列車に乗ったナツ達は、エルザと共に目的地へと向かっていた。

シューーッ!ガタンガタン


「はぁ、はぁ」
「うっぷ...」

「情けねぇなお前らよぉ」

「毎度のことだけどつらそうね」

ナツとリートは、いつも通り、乗り物にダウンしていた。

「まったくしょうがない、ナツ、私のとなりに来い」

「あい」

ナツがフラフラと、エルザの隣に行くと、

ドスッ!!

「グボォァ!」

エルザが、ナツの腹を殴って一撃で気絶させた。

「…」

リートの顔がさらに青くなり、ナツはグレイに別の席に移される。

「次はリートだ、私のとなりに来い」

「いや、俺は大丈…「来い」…あい」

ドスのきいた声で呼ばれたリートに、逆らう術はもはやない。

「楽にしていろ」

しくしく

「あぃ…」

ドカッ!!

「グハァァ!!!」

リートは腹を殴られたナツと違い、首筋に手刀をくらわされたことにより気絶させられた。

「少しは楽になるだろう」

誰も何も言えず、ただ黙っていることしかできなかった。

「そ、そういえばあたし、妖精の尻尾でナツとリート以外の魔法見たことないかも、エルザさんはどんな魔法を使うんですか?」

「エルザでいい」

「エルザの魔法はキレイだよ血がいっぱいでるんだ、相手の」

「それはキレイなの?...」

「たいした事はない、私はグレイやリートの魔法の方が綺麗だと思うぞ」

「そうか?」

そういってグレイは右手の拳を、左掌に添えて魔力を込める。すると氷で出来たフェアリーテイルのマークが造形された。

「わぁっ!」

「氷の魔法さ」

「氷ってアンタ似合わないわね」

「ほっとけっての」

グレイが、少しだけふてくされる。

「ん?でも、氷ってことはリートの魔法と何が違うの?」

ルーシィの素朴な疑問に、エルザが答えた。

「私も聞いたことがあるが、リート曰く魔力で作り出すものそのものが違うらしい」

「魔力で作り出すもの?」

「あぁ、グレイは魔力で氷そのものを作るが、リートの場合は何でも凍らせられるほどの冷気を出しているとのことだそうだ」

「それって、何が違うの?」

そこに、リートの魔法をよく知るラリカが、会話に混ざる。

「グレイのように氷そのものを作ると、氷を作り出すスピードは早くなりますし、繊細な魔力操作も形を作る為以外はあまり必要ありませんわ。
しかしリートのような場合ですと、グレイより氷の創造が難しいうえに繊細な魔力コントロールが必要となりますの、
その代わり、グレイよりも強力で割れにくい氷を作り出すことが出来るんですのよ。
まぁリートの場合は氷を作る事になれてますので、グレイとの創造スピードはあまり変わりませんわ」

「へぇー、じゃあリートはいつも何から氷を作っているの?」

「そいつは普段、大気中に混ざった水分を一気にかき集めて氷を作っているらしいぞ、凍らせられる物がない場合は自分に氷を纏わせることしかできないらしいがな」

「へぇー」

ルーシィは、エルザの膝の上でいまだに気を失っているリートの方を見やる。

「火と氷でナツとグレイは仲が悪いのにリートはナツと仲いいのね」

「そうなのか?」

「ど、どうでもいいだろ?そんな事よりもそろそろ本題に入ろうぜエルザお前ほどのやつが俺達に力を借りたいなんて、一体何事なんだ」

グレイが話題を変え、今回の本題をエルザから聞こうとする。

「そうだな、話しておこう」

「先の仕事の帰りだ、オニバスで魔導士が集まる酒場へよったときに少々気になる連中がいてな」


・・・

『オニバス酒場』

【コラァ酒遅せぇんだよさっさと持ってこいよぉ!ったくモタモタしやがって!!】

エルザの席の近くで血の気の荒い連中が、機嫌悪そうに酒を飲んでいた。

【ビアード、そうカッカすんなよ】

【これがイラつかずにいられるかってんだ!!せっかく『呪歌』の隠し場所を見つけたのにあの封印だ!んだよアレはよぉ!!!まったく解けやしねぇ!!!】

エルザは、耳をすませながら連中の会話を聞き続ける。

【バカ!声がでけぇよ】

【くそぉ!】

【あの魔法の封印は人数がいれば解けるってもんじゃないよ、後は僕がやるから皆はギルドに戻っているといいよ】


・・・


時は戻り『列車の中』

「ララバイ?」

「子守唄...強力な魔法か何かかしら?」

「わからない、しかし封印という話しを聞くとかなり強力な魔法と思われる...」

「話が見えてこねぇな...得たいの知れねぇ魔法の封印を解こうとしている...だがそれだけだ、何かの依頼って事も考えられる」

「そうだ、私も初めはそう思って気にかけていなかった...エリゴールと言う名を思い出すまではな」

「エリゴール...魔導士ギルドの鉄の森にいたエース、『死神』エリゴールですわね、暗殺系の依頼ばかりを行い続けた魔導士」

「死神!?」

「あぁ、本来、暗殺依頼は評議会の以降で禁止されているが、奴は金を選んだ...結果6年前にギルド連盟を追放...現在は闇ギルドのカテゴリーに分類されている」

「闇ギルドぉ!?」

ルーシィは身の危険を感じたのか、冷や汗が止まらなかった。

「ルーシィ汁出てるよ」

「ハッピー、汗ですわよ」

列車を降りたエルザ達は、駅のホームを歩きだした。

「なるほどねぇ」

「ちょっと待って!追放って、処罰はされなかったの!?」

「されたさ、当時アイゼンヴァルドのマスターは逮捕されギルドは解散命令を出された」

「けれど、闇ギルドというのはそんな命令を無視して活動を続ける方達が多いんですのよ」

ますます、ルーシィにとっては同行したくなくなる話に、どんどんと弱気になっていく。

「…帰ろっかな」

「でた」

ルーシィは、一気にやる気をなくした。

「不覚だった、あの時エリゴールの名前に気がついていれば...全員血祭りにあげてやったものを…」

過去の事を思いだし、エルザが殺気立つ。

「だな、その場にいた連中だけならエルザ一人で何とかなったかもしれねぇが、ギルド一つまるごと相手になるとな」

グレイの言葉に、エルザは頷いた。

「奴らはララバイという魔法を手に入れ何かをたくらんでいる、私はこの事を看過することはできないと判断した」

「鉄の森に乗り込むぞ」

「面白そうだな」

「来なきゃよかった...」

「ルーシィ、汁...」

「汗よ!」

「まったくこのお二人は血の気の多い事...」

駅から出たエルザ達は、街中を歩いているとラリカはある事に気がつく。

「あら?そういえばナツとリートはどこですの?」




「「「「あっ!...」」」」




・・・

『列車内』

「ふぅーっふぅーっ」

「ぐぉぉぉっ...」

ナツとリートは列車内でダウンしており、そこに一人の男が話しかける。

「お兄さん達、ここ空いてる?」

二人は乗り物酔いが激しく、返事ができない。

「あらら辛そうだね、そのマークは妖精の尻尾...正規ギルドかぁ羨ましいなぁ」

男は返事をしてこない二人に関係なく、一人で勝手に話を続けていた。


・・・


「なんということだ!話に夢中でナツとリートを置いてきてしまった!私の過失だ!とりあえず私を殴ってくれ!!」

「...相変わらず変な性格してますわね、エルザったら」

「そういう訳だ!列車を止めてくれ!仲間のためだ!」

「どういう訳でしょうか?…」

エルザは身勝手な理由で、駅員を困らせる。

「ギルドでまともな人ってリート以外にいないの?」

「おい!オレはまともだろ!?」

自分をまともと主張するグレイを見て、ラリカはため息を吐く。

「その台詞は、レディの前で服を脱いでいる方がいう台詞ではありませんわよ、神経抜きして冷凍マグロのごとく市場に出荷いたしますわよ?」

「やめてくれ!」

「仲間のためだと言っているだろう!なぜ分かってくれない!」

「なんで分かってくれると思ったのよ」

「無茶苦茶言わんでください!降りそこねたお客様2人の為に列車を止められるわけないでしょう!」



ガシャン




「「ガシャン?」」


音がした方へと振り向くと、ラリカが緊急停止用のレバーをおろしていた。

「これでよろしいんですの?」

「よくやった!ラリカ!」

「なにしてんのぉぉぉ!?」 
 

 
後書き
ここまでの遅れ、何とかします!がんばります!そして続きも考えます…考えただけで吐きそう…そういや、ルビってどーやってふればいいの? 
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