小学生に見えない

　　　　　　　　　　　　　　　　小学生に見えない
　福盛理恵は中学生だ、背は一四〇で小柄で丸顔で垂れ目で黒髪をボブにしている、通っている中学校のセーラー服がよく似合うが。
　妹で小六の雪代と一緒にいるといつもこう言われた。
「お姉さん？」
「妹よ」　
　一六〇の背で奇麗な黒髪をストレートで長くしていて大きな切れ長のきらきらした目と紅の唇に白い細面の顔と長い手足と見事な胸である、そんな雪代を見てだった。
　誰もが彼女を姉と思う、しかし。
「お姉ちゃん、いつもこう言われるね」
「気にしたら駄目よ」
　理恵は三つ下の妹にいつも言っていた。
「こうしたことは」
「そうなの」
「気にしたら負けよ」
　泣きそうな顔の妹に言うのだった。
「もうね」
「けれど私」
「あんたが小学生で私の妹なのは事実だからね」
　同じ父親と母親を持っていて生まれた時から見ているから言えることだった。
「だからね」
「それでなのね」
「そう、だからね」　
　妹にさらに言った。
「気にしないの、というかね」
「私美人って言うのね」
「自分がお姉ちゃんに見えるとか気にしないで」　
　それでというのだ。
「その顔とスタイルならアイドルか女優になれるわよ」
「そうかしら」
「姉の私が言うのよ」
　小学生なのでランドセルを背負っている妹に告げた、背は学校の女子では最も高く男子から見てもかなり高い。
「だからね」
「それでなのね」
「そう、将来はそうなるんだって思って」
　そうしてというのだ。
「私より大きいとか気にしないの」
「いつも言われるけれど」
「そんなの何でもないからね」
　外見は大人だが中身は小学生それもかなり気が弱く泣き虫な彼女に言っていた、そんな中でだった。
　二人は両親と街に出て買いものをしていた、百貨店に行って様々なものを買ってだ。
　美味しいものを食べて楽しんでいた、その中で。
　有名な店が立ち並び人も多い中を家族で歩いていると。
　若い女性が雪代にこう声をかけてきた。