イベリス

「神様でしたね」
「それがキリスト教では悪魔になっただけです」
「だから悪と言うと」
「違います、こうしたことはよくあります」
「宗教が違えば悪魔になりますね」
「そうです、ですから」
　それでというのだ。
「こうした悪魔はいいのです」
「悪ではないですか」
「そうです、ですが悪意の塊である」
「そうした悪魔はですか」
「最も問題です、悪意の塊はです」
　まさにというのだ。
「近寄ってはいけません、人間もです」
「悪意の塊になるとですね」
「悪魔になります、ですからそうした人とは」
「クラスメイトだった相手でもですね」
「決してです」
　何があってもというのだ。
「関わってはいけません」
「だから無視をすることですね」
「絶対に」
　まさにというのだ。
「そうして下さい」
「わかりました」
　咲は速水に確かな声で答えた。
「そうします」
「世の中嫌なもので存在してはいけない人もいます」
「悪いことばかりするので」
「連続強盗殺人鬼なぞです」
　速水は例として出した。
「世にいてはいけませんね」
「そうですよね」　
　咲もその通りだと答えた。
「そんな人は」
「そしてその彼はです」
「そうした人にですか」
「果てはです」
「そうなるかも知れないですか」
「人間性格が悪くなり過ぎるとです」
　速水はまた言った。
「悪魔にもなります」
「人間でなくなってですか」
「はい、最近小山さんはこうしたお話をよくお聞きしますね」
「そうですね」
　事実そうだとだ、咲も答えた。
「何かと」
「そうしたお話をです」
「聞く機会があります」
「そうですね、こうしたお話は聞かれて下さい」
「是非ですか」
「はい、ですから」
　それでというのだ。
「帰られる時は」
「見ることですか」
「その人を」
「わかりました、じゃあ見ても絶対に」
「話し掛けないで、ですね」
「帰ります」
「そうされて下さい」
「それで後で実際にどうなっているか」
　このことをというのだ。
「お話させてもらいます」
「そうして下さいますか」
「はい、どうなっているか」
「間違いなくです」
　速水は話した。
「その人はです」
「どうしようもない位にですね」
「なっていますので」
　だからだというのだ。
「覚悟してです」
「見ることですね」
「おそらく小山さんの予想以上に」　
　そこまでというのだ。