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チョコか炭か

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第二章

「はっきり言ってね」
「お母さんから教わったけれど」
「そうなのね」
「それで親戚の人達もお店も」
「イギリスってことね」
「それってイギリス料理がまずいってこと?」
「まずいから」 
 実際にとだ、キャサリンは言い切った。
「私の国のベジマイトより酷いじゃない」
「そんなに悪いかしら」
「イギリスでは普通でも他の国ではよ」
「まずいの」
「ええ、だからイギリスに美味しいものなしって言われるのよ」
「あるわよ、美味しいの」
 アリスはキャサリンにあっさりと言い返した。
「朝ご飯とティーセット」
「そうなの?」
「何なら今度ティータイム部のお茶会に参加してね、私そこにも所属してるから」
 テニス部の他にというのだ。
「そこでは紅茶以外にもお菓子出るからね」
「イギリスのティーセットね」
「私も作るし。今日にでも来てね」
「それじゃあね」
 キャサリンはアリスの言葉に頷いた、頷きながらどうせまずいものが出るでしょとやはり率直に言った。
 そしてその日だった。
 キャサリンは所属している陸上部の練習に行く前にティータイム部の部活に参加した、そうして紅茶とだった。
 アリスが作ったティーセットをご馳走になることにした、だが。
 その三段のセット、クッキーにスコーンそしてチョコレートのお菓子を見たが。 
 一瞥しただけでだ、アリスに言った。
「紅茶だけ頂くわね」
「食べないの?」
「クッキーとスコーンは生焼けに近いし」
 見てわかることだった。
「チョコレート炭?」
「ちゃんと焼いたわよ」
「焼き過ぎでしょ、だからいいわ」
「まずいっていうのね」
「そうよ、紅茶飲んだら部活行くから」
「つれないわね」
「全く、イギリスの食文化って何でこうなのよ。日本でもそうなんてね」
 共に席に着いているアリスに返した。
「やれやれよ、まあお料理以外はいいしお国で問題ないならね」
「いいでしょ」
「オーストラリア人でよかったわ」
「そうなのね」
「ええ、それで今度ベジマイトご馳走するけれど」
「それはいいわ」
「いや、ベジマイト身体にいいから」
 それはとだ、アリスは紅茶を飲みながら返した、二人共飲んでいる紅茶はイギリスのティータイムなのでミルクティーである。
「食べるといいわ」
「美味しいと思わないから」
「何で自分のお料理は食べられてベジマイトは駄目なのよ」 
 キャサリンはそこにはやれやれとなった。
「イギリス料理の方が酷いでしょ」
「そうかしら」
「酷いわよ、そこは謎ね」
「謎かしら」
「ええ、かなりね」
 こうアリスに言って紅茶を飲んだ、アリスは自分が作ったお菓子を普通に食べていた。だがキャサリンは紅茶だけ飲んだ。それだけは美味かった。


チョコか炭か   完


                 2022・2・18 
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