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八条学園騒動記

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第六百四十八話 牛を観つつその十三

 牛達を見るとだ、彼等はそれぞれくつろいでいた。
 歩いたり人を見たり座ったりしている、ダンはその彼等を見てセーラに対して考える顔になって尋ねた。
「マウリアではあれが普通だな」
「はい、何処でもです」
「ああしてだな」
「彼等は穏やかにいます」 
 そうして暮らしているというのだ。
「畑仕事をしてです」
「牛乳を出しながらか」
「そうしています」
「人と一緒にか」
「そうです、ですから」
 セーラはさらに話した。
「いいのです」
「人と牛が一緒にいるからか」
「神もいますので」
「神か」
「牛の中には」
 そうだというのだ。
「多くの神々がいます」
「だからか」
「いい生きものであり」
 そうしてというのだ。
「人と一緒にいてもです」
「いいんだな」
「人と牛が共にいる」
 笑顔でだ、セーラは話した。
「非常にいいですね」
「セーラいやマウリア人としてはか」
「はい、まことに」
「牛には神がいてか」
「神聖な生きものなので」
 それでとだ、セーラは笑顔で答えた。そうしてだった。
 自分も牛達を見て話した。
「もうすぐ文化祭も終わりですが」
「それでもか」
「最後は牛達と共にいて」
 そうしてというのだ。
「終えましょう」
「そうするか」
「牛の中にいる神々と共に」
 こう言ってだった。
 セーラはまたカレーを食べた、そうして文化祭が終わる時を迎えようとしていた。


牛を観つつ   完


                   2021・12・16 
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