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老猫を迎えた獣医

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第一章

                老猫を迎えた獣医
 ニュージャージ州で獣医をしているグラハム=シーハンは交流のあるボーヒーズ動物保護施設のフェイスブックの更新をチェックして妻のクレアに話した、二人共髪の毛が白くなっている初老の白人である。夫の目は青で妻の目は灰色だ。
「猫の家族を募集しているよ」
「そうなの」
「うん、そしてね」
 夫は妻に話した。
「その子が随分可哀想なんだよ」
「どんな子なの?」
「こんな子だよ」
 フェイスブックの画像を見せて話した、そこには。
 痩せてボロボロになっているトラ猫がいた、妻はその猫を見て言った。
「右耳が半分しかないわね」
「そして全体的にボロボロだね」
「ええ、それに歳もね」
 見たところだった。
「随分とね」
「十五歳らしいよ、雄でね」
「十五歳なの」
「野良猫だったのを保護されたみたいだよ」
「野良猫で十五歳なの」
「野良猫の寿命は三年位だからね」
 外の過酷な環境では長生きしにくいのだ。
「それで十五年はね」
「かなりね」
「飼われていてね」
「捨てられたのかしら」
「どうもかなり人懐っこいらしいから」
 だからだというのだ。
「前はだよ」
「飼われていたのね」
「そうだと思うよ、それでどういう経緯か知らないけれど」
「野良猫でなのね」
「大変だったみたいだね」
「お爺さんになってそれはね」
「よく生きていたよ、それで家族を募集しているけれど」 
 妻にさらに話した。
「僕達がって考えたけれど」
「いいわね」 
 妻は夫にこう答えた。
「それも」
「そう言ってくれるんだね」
「ええ、そうした子こそね」
「救われるべきだね」
「だからよ、すぐに施設に行きましょう」
「そうしようね、そしてね」
 夫は自分の考えに頷いてくれた妻にさらに言った。 
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