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入れ墨というもの

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第一章

                入れ墨というもの
 高坂和彦は所謂不良だった、中学の時から柄が悪く大阪府内でも悪名高い高校に進学するとその高校でも有名な位になった。
 兎角乱暴で柄が悪く親も呆れて何も言わない位だった。一七〇位の背で鋭い細い目と細長い顔を持っておりリーゼントに鋭いソリコミを入れて超長ランにハイ上十五センチのボンタンという格好っで来る日も来る日も大阪で喧嘩に明け暮れていた。
 怖いものなしでいてその中でだ。
 彼は仲間達にこう言った。
「わし入れ墨入れようと思ってるんや」
「ああ、入れ墨か」
「ヤクザ屋さんみたいに入れるんか」
「そのつもりか」
「そや、高校卒業したらな」
 その時はというのだ。
「もうや」
「入れ墨入れるか」
「そうするんか」
「そう考えてるんか」
「仕事は家の仕事継ぐわ」
 家の仕事は寿司屋だ、それで中学の時から家業を手伝っている。両親は彼の不良振りには呆れているが家業には真面目なのは認めている。
「寿司職人や、しかしや」
「入れ墨は入れるか」
「そうするんやな」
「高校卒業したら」
「痛いらしいがな」
 それでもというのだ。
「わしも気合見せて示す為にや」
「入れ墨入れてか」
「そうしてか」
「これからやってくんやな」
「そや、思いきり凄いの全身に入れたるわ」
 背中や腕だけでなくというのだ、彼は実際にそのつもりだった。 
 それでヤクザ映画や漫画を観てそうしてどういった入れ墨がいいのかを考えていった。そうしてだった。
 調べて見付けた彫り職人の家を訪れた、そのうえで職人である太田伸行太って丸々とした自分と同じ位の背の中年の男に話した。
「高校卒業したらや」
「それと同時にかいな」
「入れ墨入れようと思ってるねん」
 こう彼に話した。
「それも全身にな」
「全身ってめっちゃかかるで」
 職人は高坂の話を聞いてこう返した。 
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