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夢幻水滸伝

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第二百二十六話 これより西へその七

「可愛い性格と喋り方やねん」
「そうなのですか」
「しかしな」
「公ではですか」
「性格変わってな」
 それでというのだ。
「苛烈で冷酷になるんだ」
「統治はそうなるのですね」
「戦においてもな」
「四十万の敵を生き埋めにする様な」
「言うなら始皇帝の政をしてな」
 ただしその始皇帝は史記等で語られる始皇帝だ、司馬遷はどうも秦という国が嫌いだった様で始皇帝も悪く書いているふしがあるという。実際の始皇帝は確かに冷酷だったが法の運用は弾力的だったという。
「白起の戦や」
「ほんま怖いですね」
 残もここまで聞いてこう述べた。
「始皇帝と白起って」
「秦の極悪タッグやな」
「はい」
 まさにとだ、残も述べた。
「それは」
「しかしな」
「それは公の場でのことですか」
「授業中は毅然として笑わんが」
 しかしというのだ。
「それが終わるとな」
「ええ人ですか」
「そやねん」
「そうですか」
「そやからな」
 だからだというのだ。
「プライベートでは安心して付き合えるで」
「ほな普段は」
「むしろ親しみやすいからな」
「お付き合い出来ますか」
「そや、まあ我はそこまでせん」
 羅はこのことを述べた。
「流石にな」
「罪人には容赦せずともですね」
「そこまで徹底して冷酷にはせん、まして敵を生き埋めにすることは」
 それはというと。
「白起が最後どうなった」
「悲惨やないな」
 魯が応えた。
「因果応報やったな」
「自分で言う通りにな」
「国に裏切られてな」
「そうして自害したな」
「いい死に方やなかった」  
 お世辞にもというのだ。
「それは自分も言うてる通り」
「四十万の兵を生き埋めにしたからや」
 長平の戦いにおいて四十万の趙軍をそうしたのだ、ただこの四十万当初は四十五万だったその兵は号しているだけで実は四万程だったと思われる。
「他にも楚の歴代の王の陵墓を焼いてるしな」
「そうしたことをしてきたからな」
「そうなった、人はやり過ぎるとな」
「報いを受けるな」
「結果として秦も滅んだ」
 統一は果たしたが始皇帝が死んで三年後にそうなった。
「秦自体怨み買ってたしな」
「特に楚にな」
「それで劉邦が滅ぼした」
 都の咸陽を占領したのは彼であった。
「そして項羽が完全に潰した」
「始皇帝の墓暴いて宮殿焼いてな」
「そうした、始皇帝も白起も」
 今話している彼等はというのだ。 
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