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おぢばにおかえり

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第六十七話 春休みが終わってその三十二

「教会や布教所はどうしようもないからね」
「今ではそうですね」
「そりゃ昔は違ったけれどね」
「車が普及するまでは」
「それまでは皆歩いていたよ」
「そうでしたね」
「ある会長さんは毎日牛を曳いて大教会に行ってたよ」
 このお話は私も聞いています。
「車が普及するまではね」
「時代を感じますよね」
「千里ちゃんと知ってるお話だよね」
「はい」
 私もそうだと答えました。
「そのお話は」
「そうしたお話もあったしね」
「昔はですね」
「車がなくてもね」
「どの人もおみちを進んでいましたね」
「うん、ただね」
 それでもというのです。
「今は車があるから」
「車がないと駄目になりましたね」
「そうなったよ、だからね」
「免許も必要ですね」
「ないとね」
 そうでないと、というのです。
「現実どうにもならないからね」
「免許は必須ですね」
「早いうちに取っておくべきだよ」
「わかりました」
「それで彼も載せてあげたらいいよ」
「彼って新一君ですか」
「絶対に喜ぶからね」
 だからとです、杉浦さんは私に笑って言ってきました。
「そうしてあげるといいよ」
「あの子をですか」
「そうしてあげたらいいよ」
「あの子乗せたら」
 私は想像しました、私が運転する車にそうするとです。 
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