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毎日会いたくて

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第三章

「私達がね」
「もう何もないですね」
「それでこの前本家さんに家に戻って何もないので怒って来てね」
「そうしたんですか」
「もう朝から晩まで家の前で吠えていてね」
「あの人達が言ったふわりみたいに」
「そうしたことをしてね」 
 そのうえでというのだ。
「通報されてね」
「また警察の厄介になったんですね」
「そう、前科が増えたわ」 
 そうなったというのだ。
「何もかもがなくなってね」
「前科だけ増えたんですね」
「ご本家が後見人になったけれど」 
 禁治産者にはそれがつくことが法律で定められているからだ。その為二人の家にあるものも全て処分出来たのだ。後見人の権限で。
「義絶したままで勿論面倒はね」
「一切見ないですね」
「そうなったわ、だからもうね」
「あの人達は終わりですね」
「ただ生きていくだけよ」
 それだけになったというのだ。
「ただそれだけの」
「人間失格になったんですね」
「二人でね」 
 太宰治のこの作品の結末の様にというのだ。
「人でなくなった」
「餓鬼になっていたから」
「ああなったのよ、全てはね」
「自業自得ですね」
「本当にね、けれどふわりちゃんは貴女達が育てて」 
 由里子を見て話した。
「それでこの娘達はね」
「こちらで、ですね」
「育てていくわ、あの二人は親にならなかったけれど」
「私達はですね」
「親になりましょう」
「はい、一緒に」 
 由里子は彼女に笑顔で答えた、そうしてだった。
 暫くは起きた妹達をあやす様に遊んでいたふわりに二人がまた眠りに入るとまた明日ねと声をかけた。するとふわりは今の自分の母親の元に戻って散歩に戻った。そして妹達に別れを告げて主婦に見送らせて母と共に家を後にした。


毎日会いたくて   完


                  2021・12・24 
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