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いきなり家に来られて

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第二章

 置きものは女の頭を直撃した、これで女は気絶して倒れた。
「死んだのかしら」
「気絶してるんじゃない?けれど死んでも正当防衛になるわよね」 
 亜美は気絶した女を見つつ祖母に応えた。
「家に入って来て窓ガラス割ってね」
「亜美ちゃんに襲い掛かってきたから」
「絶対にそうよ、今のうちに縛って警察呼ぼう」
「そして事情お話して」
「警察に突き出そう」
「それがいいわね」
 祖母は孫娘の言葉に頷いた、そうしてだった。
 実際にそうした、その後で亜美は警察から事情を聞いたが。
「あの人隣の区の学校の先生で逵本喜世美っていうらしいわ」
「学校の先生なの」
「旦那さんも学校の先生で高校で働いているらしいけれど」
「その旦那さんがなの」
「ええ、それがね」
 亜美は祖母に眉を顰めさせて話した。
「生徒と不倫して」
「それでなの」
「それがご近所の人だったらしくて」
「うちと間違えてなの」
「来たらしいわ」
「そうだったのね」
「それで調べたら元々あの人過激派出身で」
 彼女が言っていた通りにというのだ。
「おかしな組合やそうした人達とね」
「お付き合いあるの」
「そうした人らしいわ」
「そうだったのね」
「お家探したら変なもの一杯見付かったらしいわ」
 警察が取り調べの中でそうしたならというのだ。
「かなり胡散臭い人だったみたい」
「そんな人だったの」
「ええ、それであの人逮捕されてクビになってね」
 そうなってというのだ、尚気絶したが命に別状はなく後遺症もないとのことだった。当然亜美達は正当防衛を認められ罪には問われなかった。
「ご主人も生徒に手を出してね」
「不倫なんてしていることがわかって」
「やっぱりね」
「クビになったのね」
「そうみたいよ、けれどね」 
 亜美はぼやいて言った。
「窓ガラスの修理費や他の慰謝料とかは出てね」
「窓は元に戻ったけれど」
「あんなことは二度と御免よ」
「そうよね、いきなり来て襲われるなんてね」
「それも勘違いでね」
 それでというのだ。
「襲われるなんてよ」
「もう二度と御免ね」
「全くよ、本当に災難だったわ。それにね」 
 亜美は祖母にこうも言った。
「勘違いでもああした目に遭うなら不倫なんてね」
「そうよ、不倫はしたら駄目よ」
 祖母もそれはと答えた。
「怖いことになるから」
「そうね、絶対にしないわ」
「人間真面目が一番よ」
「本当にそうね」
 亜美は今回のことでよくわかった、それで実際に彼女は人生において不倫はしなかった。そして過激派等胡散臭い面々とも関わらなかった。その経験からそうしたのだった。


いきなり家に来られて   完


                  2021・12・22 
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