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八条学園騒動記

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第六百四十三話 カルトとは何かその六

「それはまた」
「それをやるのがあいつ等だ」
「宗教でもそうか」
「兎に角残虐でだ」
 そうしてというのだ。
「搾取、収奪もだ」
「酷いな」
「相手が餓え死にしてもだ」
「取るな」
「それが植民地統治だ」
「自分達以外は餓え死にしてもいいか」
「そうだ。そして少しでも逆らうなら」
 それならというのだ。
「やはり残虐にな」
「殺すか」
「それの繰り返しだからな」
「連中は人間じゃないか」
「化けものだ」
 それになるというのだ。
「エウロパ貴族はな、そしてだ」
「エウロパの連中もだな」
「あいつ等は殺すことが大好きだ」
 タムタムはそれが偏見とは自覚せずに語った。
「そうだ」
「殺すことが好きとかはな」
「人間じゃないな」
「本物の化けものだ」
 それになるというのだ。
「植民地統治でも人を遊びで殺していたな」
「首の斬り合いをしたりだな」
「無抵抗な原住民をな」
「本当に人間じゃないな」
「母親の目の前で子供を掴んで振り回して頭を岩にぶつけて殺したりな」
「そうもしたな」 
 これは中南米でのスペイン統治であったという、連合では子供にこうしたことを教えてエウロパへの敵愾心を育てているのだ。
「あと猛犬をけしかけてか」
「食い殺させたな」
「人を網焼きにもしたか」
「じっくりとな」
「俺も知っている」
 フランツも連合の者だ、だから授業で教わっているのだ。
「そう考えるとな」
「あいつ等は人間じゃないな」
「なら悪魔か」
「悪魔はただ神の敵だ」
 タムタムはこう話した。
「それだけで悪いとはな」
「言えないか」
「そうも考えられるからな」
「エウロパの連中は悪魔じゃないか」
「化けものだ」
 タムタムはまたこう言った。
「それだ」
「化けものか」
「正真正銘のな、姿形がどうでもな」
 それでもというのだ。
「人間の心があれば」
「人間か」
「そうなるが」
 しかしというのだ。
「それでもな」
「人間の心でないとか」
「化けものでだ」
「だからエルロパの連中は化けものか」
「そうだ、だが俺達は人間だからな」 
 タムタムはフランツに真面目な顔で話した。
「あいつ等と同じことはしない」
「ああしたことはだな」
「だからエウロパ戦役でもな」
 先の戦争の時もというのだ。
「あいつ等と戦ってもだ」
「あいつ等と同じことはしなかったか」
「略奪暴行は厳しく禁じられた」
 このことは軍を統括する国防長官であり彼等の学園の理事長でもある八条義統が軍律を正してそうさせていた。 
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