| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

おっちょこちょいのかよちゃん

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

184 護符を奪いに来た王妃

 
前書き
《前回》
 山口、川村、ヤス太郎、そしてすみ子で構成される組織「義元」は戦争主義の世界のとある街を襲撃し、シュヴルーズ公爵夫人と交戦し、何とか撃破する。だがその街の女王は逃がされたとの事でエレーヌは杖、護符、杯の所有者に危害が及ぶのではと懸念する。そして平和主義の世界を死守するさり達の元に清正が戻って来る。そして彼と共に現れたのは・・・!? 

 
 こちら本部守備班。さり達護符の所有者の一行は清正と共に現れたテレーズと会った。
「テレーズ・・・?」
「そういえば・・・、ああ!!あの時の!!」
 さきこは思い出した。妹達がアントワネットとかいう女性との対峙の時に援軍に訪れた時、勝利に貢献した女性だった。
「思い出してくれましたか」
「はい」
「『杖の所有者』達は今無事でしょうか?」
「ああ、皆藤木君の救出に進んでいます」
「となると、私が護符の能力(ちから)で皆を援軍に行かせた時に会ったのね」
「はい、そうです」
 テレーズはさりの方に振り向く。
「貴女が『護符の所有者』ですね?」
「ええ。羽柴さりよ」
「テレーズがここに来られたのは報復として欧州の王妃が赤軍の者と共にお主の護符を奪いに来ると彼女の剣が予知したからなのだ」
 清正が説明した。
「王妃・・・」
「さりさん、もしかしてさっき山口君達が滅ぼしたって街に住んでいた王妃じゃないですか?」
「・・・は!そうね。となるとその当てつけに私を狙うって訳ね!!」
「全くその通りだ」
 また別の声が聞こえて来た。
「あ、あんたは・・・、赤軍!?」
「そうだ。ほう、あの時の秀才のガキもいるのか」
 長山はその男に見覚えがあった。
「お前ね。護符の持ち主とやらは」
 また別の女性が現れた。
「あんたがその王妃って訳ね!」
 さりは長山に確認を取る。
「長山君、会った事あるの?」
「はい、あの赤軍の人は前に僕を連れて行こうとしてました!」
「貰うわよ、私の住む街を消された恨みを消して、お前達の命もね!」
 赤軍と恨みに満ちた王妃との戦いが始まる。

 羽井玲衣子。本部守備班の一人であり、境界の西側を三人の同級生と共に死守している。以前、エルデナンドという侵略者から消されそうになった所を護符の持ち主達に救われた事がある。
(あの人達、大丈夫ばい?)
「羽井玲衣子嬢、不安な事がおありですかな?」
 この世界の住民であり、玲衣子達と共闘している道真が聞いてきた。
「あ、その、護符の持ち主が今大丈夫しとっかな思うて・・・」
「ええ、そこは祈るしかありませんね」
 その時、どこかしらから声が聞こえる。
『護符の持ち主です。今、赤軍と会ったわ。支援をお願い!!今出す黒い穴を通って!!』
 聞いた事のある声だった。そして黒い穴が現れた。
「この声・・・。護符の持ち主の声やん!」
「え?よし、急いで助けに行くぞ!」
 玲衣子達は穴を通った。

 さりの護符が別行動中の本部守備班に自動で助けを読んでいた。
(これで増援が来れば・・・!!)
 さりはそう思っていた。そしてアンヌ王妃と丸岡が攻撃を始める。
(先ずはどんな攻撃にも通じると認識させて・・・)
 丸岡が認識術を設定した。アンヌ王妃の攻撃が全て通り、無効化されないと。
(そして矛盾術だ!)
 丸岡は護符の能力(ちから)に矛盾を起こさせた。
「このアナ・マリーア・マウリシアが裁きを下す!!」
 アンヌがはめている手袋から光を放つ。
「なっ!」
 さり達はその光をまともに受けた。武装の能力(ちから)を持っているにもかかわらずである。
(俺やアンヌの持つ機械が働いているか・・・!!)
 丸岡にアンヌ王妃が持つ機械の武装の能力(ちから)がさり達に勝っていたのだった。
(あとはこれだな・・・)
 丸岡が機械を通して威圧の能力(ちから)を発動させる。
(目が見えない・・・。身体が動かない・・・)
 さりが倒れた。
「しまった。このままでは護符が容易く奪われてしまうぞ!!」
 清正は懸念した。
「お前らも消えて貰うよ」
 丸岡が告げた。
「くう!」
 清正が時の槍と空間の槍を視力が戻らない中、闇雲に投げた。
「そんな物、意味ないわ!」
 アンヌ王妃が槍の攻撃をあっけなく手袋で無効化した。
(このままでは消される・・・!?)
 清正が折角槍を新調したのにここで倒されるのかと絶望的になった。
「これで護符は貰うわよ。そして貴方達全員、消えなさい!!」
 アンヌ王妃が消滅の光線を手袋から放った。

 玲衣子は友達と共に護符で作られた空間移動の穴を通る。
(あの人、大丈夫とか?)
 出口が見える。しかし、自分達がいた所と同じ場所だった。
「え?どげんなっとんばい?」
「おかしか!」
「どうやら護符の所有者と相対している者の仕業のようですね」
 道真が冷静に答えた。
「どうすんばい?」
 友達の男子が聞く。
「なら!」
 玲衣子はペンで空中に円を描く。
「これで移動するばい!」
「おう!」
 一行は円の中に入った。

 同じ頃本部の一室。かよ子の母達は境界付近の護符の所有者に異変に既に気付いていた。
「大変な事になったぞ。赤軍まで加勢に来た!」
「それって?」
「ああ、丸岡修とかいう人間だ。聞いた話では以前にも6月に清水に現れて長山治君を利用する為に連れて行くのと共に杖を奪いに来ている。さらにクリスマス・イブの日には杯の所有者とも戦っている奴だ!」
「え?じゃあ、あん時健ちゃんが追っ払ったのがそいつ?」
 奈美子がいう「あの時」とはまだ護符を娘に引き継ぐ前の事、甥とその友人に富士山の神の力が籠ったお守りを護符で出して二人に持たせた時だった。
「ああ、それだけじゃない、彼は広島にある剣を奪った本人だ!それに奴の能力はかなり厄介だぞ!」
「ええ!?さり、大丈夫なん?」
「兎に角こちらからも連絡を行う!」
 イマヌエルは通信機を出して本部守備班全員に連絡を出す。
「こちら本部イマヌエル。本部守備班全員に告ぐ。只今護符の所有者が赤軍及び強敵と交戦中!空間移動を施す為、可能な者援軍求む!」
 イマヌエルは動員を求めるのだった。
「イマヌエル、私も参りましょう」
「フローレンス、君が動いて大丈夫なのか?」
「はい、それほどの強敵ならば護符の所有者もただではすみませんはずです」
 フローレンスが外へ出た。
「ところでイマヌエル。その赤軍は長山君を利用しようとした事があるみたいだったけど、どうして長山君が必要なの?」
 まき子は赤軍の人間がなぜ長山が必要になったか気になっていた。
「それは長山治君は秀才な少年だ。非の打ち所がない。赤軍はそれゆえに彼の才能を利用して計画を完成させたがっているんだ。それにもう一つ、彼を藤木茂君の知り合いでありながら藤木茂救出班ではなく本部守備班に配属させた理由は・・・」
「それは?」
「長山治君には数少ない威圧の能力(ちから)を持つ者ではあるが、三河口健などの他の持ち主とは異なり敵の世界の創り主にとっては彼の能力(ちから)を利用すればこの世界を上手く乗っ取りやすいのだよ。彼を他の班に配属させたら赤軍や敵勢力の人間にとって敵地に出向いている山田かよ子君、安藤りえ君と共に襲撃する対象になってしまうんだ。前にも清水で彼が襲われた事があったと聞くからね、護符と共に本部守備班全員で守って貰いたいんだ」
 イマヌエルは願った。全員で護符と共に長山治を保護しぬく事を。

 アンヌ王妃と丸岡は勝ち誇った。
「終わったか・・・」
 光が消える。全員死によって消滅すると全員予想していた。しかし、さり達は倒れてはいたものの、死んではいなかった。
「な、これは・・・!?」
「どういう事!?私の力は誰にも妨げられないはず!」
 一人の女性が倒れることなく立っていた。剣をかざしながら。
「この宝剣でラファエルとアズライールの能力(ちから)を使わせてもらいましたわ」
 その女性はテレーズだった。 
 

 
後書き
次回は・・・
「手袋と宝剣」
 アンヌ王妃の手袋に対し、テレーズが己の宝剣で迎撃する。テレーズはその宝剣の能力(ちから)でさりの護符を守り抜く事ができるのか。そして他の本部守備班の人間が次々と応援に現れる・・・!! 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧