八条学園騒動記
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第六百四十一話 餓鬼道その十
「死ぬと本当にな」
「餓鬼になってか」
「一万五千年苦しむ」
そうなるというのだ。
「本当にな」
「そうか」
「本当にこの中の三つのうち一つがな」
「少しでもあるとか」
「欠片でもな、それならな」
「そこからか」
「救われて他の要素もだ」
その三つのというのだ。
「出来て来て育つだろう」
「そうなってよくなるか」
「人はな、だがその三つのどれも全くないと」
最初言ったものが二つから三つになっている、タムタムはそのことを自覚しつつフランツに話した。
「浅ましく図々しく貪欲な」
「そんな奴になるか」
「それがあいつでな」
「そうした面もあるってさっき話した奴が言ってたな」
「そうなると餓鬼だ」
「感謝、思いやり、謙虚がなくか」
「浅ましく図々しく貪欲になるとな」
餓鬼、それになるというのだ。
「そして餓鬼は嫌われる」
「そんな性格だと嫌われるな」
「群れるが協力し合うことはない」
「利用し合うだけか」
「確かな人は協力し合う」
「そして餓鬼は利用し合うだけか」
「友情なぞない」
それぞれの間にというのだ。
「馴れ合ってな」
「利用し合うだけか」
「それだけだ」
「そうするだけか」
「協力し合えばお互いも見て成長もするが」
そうもなるというのだ。
「相手のいい面も悪い面も見てな」
「自分はどうかと考えてか」
「そうもなるが」
「利用し合うだけならか」
「もう何もだ」
それこそというのだ。
「学び合うこともな」
「しないか」
「相手を駒としか見ていなくて何を学ぶ」
利用する対象でしかないならというのだ。
「自分の都合で捨てる、必要な時だけ使う」
「それだとか」
「学ぶこともしない、そしてな」
そうなってというのだ。
「そうしてお互いに堕ちるだけか」
「そうなる」
「そうか」
「ああ、だからな」
それでというのだ。
「そんな奴は餓鬼以外の何もなれなくてな」
「死んで本物の餓鬼になって苦しむか」
「地獄よりもだ」
「餓鬼はさらに辛いか」
「本当にそうした意見もある」
「成程な、そうかもな」
フランツも頷いた。
「言われてみるとな」
「餓鬼になることは地獄に堕ちるよりも辛いな」
「地獄はお仕置きをされるな」
「どの宗教の地獄でもそうでな」
「仏教でもだな」
「仏教の地獄は色々ある」
日本の仏教では特にであろうか。
「八大地獄とありそれぞれが八つずつ分かれている」
「そうなのか」
「それで合わせて六十四ある」
その地獄がというのだ。
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