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僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ 完結

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12-⑵

 私達は、予約していた旅館に向かった。海の近くだが、内湖に面していて、静かな所だった。お部屋からもその湖が一望できた。遠くに、水鳥が浮かんでいるのも見える。

「わぁー きれいね けっこう、歩いたから、疲れたよー お父さん、大丈夫?」と、清音が心配していた。

「あぁ いつも、散歩して鍛えているからな お前たちより、元気なつもりだよ」

「そうか 私が一番、普段歩いていないかなぁー お店の中だけだから」

「ねぇ 直ぐに お風呂いこうよ さっき、ここの人がね 今なら、お客様少ないから、貸し切りで入ってもらってもいいですよって 言ってたから 行こうよ みんなで・・」

「そうね お父さんも 行こうよ」と、私 少し、抵抗あったけど、清音が言い出したから

「あー 娘の裸 見てもなぁー こっちが、恥ずかしよ」と、お父さんが言っていたが

「なに 言ってんのよ 昔は、一緒だったじゃぁない 私達の、この美しい身体なんて、もう、見られないよ 行こうよ」と、清音はお父さんの手を引っ張っていた。

 フロントに声を掛けると、女性用でお願いしますと『貸し切り』の札を渡されて、入口に下げておいてくださいと言われた。浴室は、男性用より、少し、小さいらしいが、それでも、湖が見渡せる一面が大きな窓になっていた。清音と私は、二人で、身体を洗いっこしたりして、ふざけあってお湯をかけあったりしていたが、お父さんは、さすがに私達の方をまともに見ようとしていなかった。だけど、昔見た、筋肉が隆々としていた姿じゃあ、無かった。ただ、静かに湖を見ていたのだ。

 お父さんは、先に出て行ったんだけど、私が、下着を身に着けていると

「お姉ちゃん 胸 割と小さいんだね 下着もおとなしいし 蒼さん 可哀そう」

「大きな お世話! 蒼は そんな すけべぇー じゃぁないし」と、バスタオルで、叩き返した。確かに、清音は胸もあったし、私からしたら、色物の派手な下着を身に着けていた。そうなんかなぁーと私 思っていたのだ。

 部屋に戻ると、お父さんは、もう、何処から調達したのか、何か飲んでいた。お酒の匂いがしていた。お酒を冷やで飲んでいたのだ。

「お姉チヤン ウチ等も飲もー ビール買ってくるわ」と、清音が出て行って、缶ビールを抱えて戻ってきた。そのうち、お料理が運ばれてきて、お刺身が盛られた大皿と、魚の煮つけ、野菜の天ぷら、そして、鰻の蒲焼が香ばしく持ってこられた。そして、食べ始めるときお父さんが

「ワシはこんなに幸せなことはないよ 仲の良い娘ふたりに囲まれて ゆっくりさせてもらってな 風呂に浸かりながら、昔のことを思い出そうとしていたんだが・・出てこなかった だけど、今は本当に幸せだ 美鈴は良い人見つけたし、清音だって毎日が楽しそうだ こんな、嬉しいことは無い 有難う」

「お父さん もう いいのよ 昔のことは・・」と、私、涙が・・。清音は泣きながら

「ウチ お姉ちゃんを恨んでしまっていた だけど、今は、本当に幸せって思っている 良かったって お姉ちゃん 本当にありがとう」と、泣きじゃくっていた。

「なによ これからも、ふたりでね お父さんを支えて行くんだよ」と、言うのが精一杯だった。

「せっかくの、お料理がさめちゃうわ 清音が泣き出すから・・」

「何よ お姉ちゃん から 泣き出したんじゃあない!」



 
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