恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百十二話 一同、赤壁に出陣するのことその十一
ユリがだ。こう言うのだった。
「っていうか戦い前にこんなことになるなんて」
「予想外やな」
「死んだ人はいないけれど」
「司馬尉の落雷より酷いんちゃうか」
「ええと、旗はこっちで」
「天幕立て直してや」
こんなことを話しながらだ。彼等は何とか復活していた。そのうえでだ。
赤壁に向かう。それはもう目と鼻の先だった。
その彼等を闇の中から見つつだ。于吉が言った。
「さて、雷は封じられましたね」
「そうね」
于吉にだ。司馬尉が応える。彼女も闇の中にいたのだ。
「私の雷はね」
「このことは予想されていましたか?」
「ええ、ただ」
「ただ?」
「今の私の力ではあの封印には対抗できないけれど」
それでもだとだ。司馬尉は怪しい笑みで于吉に言うのである。
「もう少ししたらそれもね」
「変わりますね」
「ええ、間も無く私の力はさらに大きくなるわ」
だからだというのだ。
「その時はね」
「あの結界も破られる」
「赤壁だけじゃないから、戦いは」
司馬尉は奇しくも怪物達と同じことを言った。
「そしてそこでね」
「雷を落とされますね」
「そうするわ。さて」
ここまで話してだった。于吉は。
やはり闇の中にいる社達にだ。こう声をかけたのである。
「貴方達の出番ですね、今回は」
「ああ、わかってるさ」
「そのことは既に」
社とゲーニッツがその言葉に応える。
「今回は俺達が暴れさせてもらうぜ」
「それも思う存分」
「特に重要なのは」
于吉はここでゲーニッツを見た。そのうえでだ。
その彼にだ。笑みを浮かべてこう言った。
「貴方ですが」
「私の風を操る力があればです」
「はい、彼等を赤壁で倒すことができます」
それが可能だというのだ。
「私の風と」
「僕の炎を組み合わせてね」
クリスも出て来てだ。無邪気な笑みと共に述べた。
「それによってです」
「赤壁で決着をつけるから」
「俺も協力させてもらうぜ」
社もだ。楽しみを前にした笑みで言った。
「オロチの為にな」
「頼もしいですね、実に」
于吉は仲間達のその言葉を聞いてだ。
満足した笑みになりだ。こうも言うのだった。
「オロチ一族、盟友に選んで正解でした」
「そう言ってくれるのね」
シェルミーも出て来てだ。彼女も話に加わる。
「勿論私も仲間に入れてもらうけれど」
「ああ、これでバンドが揃ったな」
社は『人間』としての趣味からこんなことを言った。
「いいぜ。それじゃあな」
「皆でね。楽しもう」
「オロチ一族で」
「さて、それでなのですが」
ゲーニッツはオロチのほかの三人に対して問うた。ここでだ。
「貴方達はそれぞれ役目がありますね」
「バンドのだな」
「そうです。しかし私も入るとなると」
その場合はだ。どうなるかというのだ。
「演奏する楽器は何になるでしょうか」
「キーボードなんてどうだ?」
社が提示した楽器はそれだった。
「あんたピアノとか好きだろ」
「教会でいつも使いますので」
「だよな。じゃあそれどうだ?」
「確かに。ピアノとキーボードは近いところがありますし」
「それにするか」
「その機会があれば」
ゲーニッツは恭しく応えて話した。そんな話をしながらだ。
彼等もまただ。策を練っていた。そうしてだ。
戦に備えていた。赤壁での決戦に。
第百十二話 完
2011・9・19
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