オークションの場で
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第一章
オークションの場で
ふわりは売り出せる時になると三匹の兄達と共にブリーダーの夫婦が契約している八条ペットの中のオークションに出された。
その時に彼女を見てペットショップの社員達は口々に言った。
「この娘いいな」
「ああ、凄くいい娘だぞ」
「可愛いな」
「ああ、それにかなり賢そうだ」
「それに性格もいいっていうし」
「これは凄い娘になるぞ」
「クゥン?」
何もわからないふわりは聞いているだけだった、だが。
彼女も兄弟達もオークションにかけられた、ここで社員達は話した。
「生きものをオークションにかけるのもな」
「考えてみればよくないな」
「命だしな」
「命を商品にしてるだけでもどうかにしても」
「こうして値段で価値、ランクを付けるのも」
「どうもな」
「よくないな」
こう話すのだった。
「社長さんもそれを考えてどうしようかって思ってるらしいが」
「今はこうしてやってるしな」
「命は金じゃ買えないけれどな」
「それで商品にするのはな」
「犬も命なんだ」
「猫もハムスターもな」
「それで価格つけて売るのも」
このこともというのだ。
「やっぱりよくないかもな」
「売るにしてもオークションはよくないかもな」
「そうだよな」
「社長さんもどう判断するかだな」
「このことはな」
こうしたことも話していたがそれでも今は行われていてだ。
まずは三匹の兄達が決まりそしてふわりもだった。ふわりをペットショップに入れることになったその店の店長は彼女を見て言った。
「うちの店に来たトイプードルの中で一番かもな」
「ですね」
一緒にいる古参の店員も言った。
「この娘は」
「今も大人しくちゃんと座っていてな」
「暴れないですし」
「ずっと僕達を優しいいとしげな目で見ていて」
「あのブリーダーのご夫婦は良心的ですが」
「しっかり育てられてな」
「それで、ですね」
そのうえでというのだ。
「元もかなりいい娘ですね」
「そうじゃないとここまで賢くないぞ」
「それに性格も」
「僕達を信じてくれているな」
「純粋ですね、それに外見も」
商品として最も大事なそちらもというのだ。
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