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八条学園騒動記

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第六百三十八話 酒が進むその十三

「皇帝はな」
「一つの国に一人だけね」
「いや、国どころかだ」 
 それに収まらずというのだ。
「文明にだ」
「一人ね」
「一つのな、エウロパという文明のな」
 この国は西欧文明圏と東欧文明圏の連合となる、文明学的はエウロパはそうした立場であるのである。
「その上にだ」
「一人ね」
「連合はその中に色々な文明が存在している」
「だから日本は日本の文明で」
「エチオピアもな」 
 この国もというのだ。
「アフリカ文明を代表すると言っていい」
「だから皇帝ね」
「それでエウロパのどの国もだ」
「皇帝はいないのね」
「王はいてもな」
「王は皇帝に言えないというか」
「格下だ、王は皇帝に任じられるものだ」
 このことは特に中華文化圏で顕著だ、王は皇帝に任じられ王となるんどあ。
「それをわかっていてな」
「エウロパの連中も言わないのね」
「日本の天皇にはな、しかしな」
「韓国の場合は」
「違うということだ」
「そうよね」
「それには深い理由もあるしな」
「劣等感でしょ」
 その深い理由はとだ、アンは言った。
「結局は」
「日本に対するな」
「そうよね」
「あの国は王だが」
 その歴代王朝はというのだ。
「日本は皇帝だったからな」
「格下の筈なのに」
「国力も国の格も上だが」
 それだけでなくというのだ。
「さらにな」
「天皇つまり皇室まであるから」
「余計にだ」
 尚更というのだ。
「劣等感を刺激されてな」
「言うのね」
「そういうことだ、しかし日本の皇室の質素さは」
 ギルバートはあらためてそのことを話した。
「イスラエル人から見てもな」
「相当よ」
「手本にすべきか」
「そこまでだって思っているわ」
「成程な」
 こうした話もした、そしてだった。
 キャンプファイアーの火が点けられた、二人は今度はその火を観ながらそのうえで飲んで食べるのだった。


酒が進む   完


               2021・10・2 
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