八条学園騒動記
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第六百三十八話 酒が進むその七
「だからね」
「エウロパの軍門に降りたくないな」
「そう思うなら」
「そうだ、働いてな」
そうしてというのだ。
「発展に貢献する」
「連合のね」
「その前提があるからな」
「それでよね」
「夜に時間を変えてな」
そのうえでというのだ。
「働いている」
「そうした人が多いのね」
「ムスリムでもな」
「働かないと発展しない」
「そうだな」
「それはもうね」
「はっきりしている」
働いてこそ何かが生まれるからだ、若し誰もが働かないのならば社会が動かないことは自明の理である。
それでだ、ギルバートも言うのだ。
「それでだ」
「ムスリムの人達も働くのね」
「ラマダン中でもな」
「夜にそうするの」
「発展こそが最大の国防でだ」
そしてというのだ。
「二度と奴隷にならない」
「その道ね」
「だからな」
そう考えるからだというのだ。
「法学者の人達でも議論はあるが」
「基本的になのね」
「それでだ」
働くことでというのだ。
「話は収まっている」
「連合にある現実ね」
「そうだ、現実は常に目の前にある」
「そこから宗教もあるってことね」
「特にイスラムは現実を見る」
そうした宗教だというのだ。
「それでだ」
「現実としてエウロパがあって」
「あの国と敵対しているからな」
「それで二度と植民地、奴隷にならない」
「イスラム教徒に奴隷は存在しない」
ギルバートは断言した。
「皆アッラーの前に同じだ」
「貧富や立場の違いはあっても」
「それでもだ」
「皆同じ人間ね」
「だからイスラム成立の頃からだ」
それこそムハンマドが天使からコーランを読めと言われた時からというのだ。
「あの頃からな」
「イスラムに奴隷は存在しないってことね」
「ムスリムならな」
「それは昔からなのね」
「奴隷は異教徒達だった」
イスラム世界ではというのだ。
「そしてムスリムになるとな」
「解放されたのね」
「そうなっていた」
そしてこれもイスラムの信者が増えた理由なのだ。
「ムスリムならだ」
「奴隷でなくなっていたのね」
「イスラム教ではな」
「誰もがアッラーの前に同じで」
「そうした考えだからだ」
この考えが徹底していてというのだ。
「それでだ」
「改宗すればなのね」
「奴隷でなくなった」
「そうなのね」
「そこは徹底していた」
「奴隷は異教徒だけね」
「尚奴隷にも色々な配慮が為されていた」
刑罰等は普通の者の半分とされておりかつ待遇なキリスト教世界の奴隷達よりもましなものであった。
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