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八条学園騒動記

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第六百三十八話 酒が進むその二

「流石にそれはとな」
「それは駄目なのね」
「しかし。酒も売っているしだ」
「お酒の方がよね」
「イスラムではよくないだろうしな、戒律に則って殺せば」 
 それでというのだ。
「いいかもな
「そうなのね」
「その辺りはな」
 イスラムはというのだ。
「寛容だからな」
「内臓を食べてもいいのね」
「僕はこの前鰻の肝を食べた」
 この食べものをというのだ。
「日本だと普通だな」
「ええ、肝の吸いものとかあるわね」
 アンも知っていて答えた。
「日本だと」
「イスラムでも鱗のない魚はな」
「どうかってなるのね」
「しかも内蔵だったが」
「食べたのね」
「マレーシア人が集まった時にな」
 ムスリムの多い中でというのだ。
「そうした」
「そうなのね」
「だがその時に皆謝罪した」
「アッラーに」
「それで食べた」
「それだけね」
「そうだったしな」
「本当にそこはイスラムね」
 アンは今度はつくねを食べつつ述べた。
「ユダヤ教とは全く違うわ」
「ハールーン=アル=ラシードは思う存分贅沢をした」
 アッバース朝第五代スルタンでありこの王朝の黄金時代を治めていた、アラビアンナイトにも登場してくる。
「そしてその贅沢にはな」
「お酒もかしら」
「本人は飲まなかったかも知れないが」
 贅沢好きで色々問題もあったが敬虔なムスリムではあった。
「周りにな」
「好きな人もいたの」
「酒好きの詩人もいた」
「その人処罰しなかったの」
「そうだったしな、しかもな」
 ギルバートはさらに話した。
「バイバルスは堂々と飲んでいた」
「イスラムの英雄だったわね」
「モンゴルに勝ったな」
 無敵と言われたこの国にというのだ。
「十字軍にもでな」
「本当に強かったのね」
「勿論この人もムスリムだったが」
 それでもというのだ。
「宴でな」
「お酒を飲んでいたのね」
「飲むなとなっているが」
「アッラーは寛容だから」
「実は皆飲んでいる、イスラムは長い間繁栄していた」
 ギルバートはこうも言った。
「むしろ欧州よりもな」
「遥かによね」
「発展していてな」
 そうしてというのだ。
「そしてだ」
「繁栄もしていたわね」
「バグダートは世界最大の都市だった」
 そのハールーン=アル=ラシードの頃である。
「他の街もな」
「繁栄していたわね」
「欧州なぞだ」
 敵だった彼等はというのだ。 
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