| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条学園騒動記

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第六百三十七話 酒池肉林とはその十一

「だからね」
「ゲットーにだったな」
「隔離されていたけれど」
「今は隔離も何も」
「あらゆる宗教が共存しているからね」
「それが連合のいいところだ」
 ギルバートは言い切った。
「宗教、神は違うがな」
「それでもね」
「信じていることは同じだ」
「そうよね」
「イスラムだと異教はいい」
 宗教は違うことはというのだ。
「別にな」
「天国に行けないだけね」
「イスラムの教えではな」
 異教徒は確実に地獄に落ちるというのがイスラム教の教えである。
「そうだが」
「信仰があれば」
「それは良心の拠り所でもあるからな」
「いいわね」
「逆に無神論はな」
 この考えはというのだ。
「絶対にだ」
「認められないわね」
「相手にしない、そして」
「何かあればね」
「犯罪があれば真っ先に疑われる」
 イスラムの社会で無神論者はというのだ。
「信仰がない、即ちな」
「良心の拠り所がない、ね」
「つまりどんな悪事を働いても平気だ」
「そう思われるわね」
「連合では無神論者は殆どいないがな」
 人類が宇宙に進出してから無神論者は殆どいなくなったという、どうも人類は宇宙に出るとそこで神を感じるらしい。
「しかしな」
「それでもよね」
「その無神論者はな」
「悪人と思われて」
「犯罪が起こるとな」
「真っ先に疑われるのね」
「そして冤罪でもだ」
 それでもというのだ。
「普通にどうなるかわからない」
「良心がないと思われているから」
「本当にな」
「冤罪になりかねないのね」
「そうだが」
 アンにあらためて問うた。
「ユダヤ教徒はか」
「どの国にいてもね」
 イスラエルの外に出てもというのだ。
「自然とね」
「集まるか」
「一人、一家族で暮らすユダヤ人はね」
「いないか」
「連合ではね、あとマウリアでもね」
 この国でもというのだ。
「進出しているけれど」
「やはりか」
「コミュニティを築いて」
 そしてというのだ。
「そのうえでね」
「集まって暮らしているか」
「そしてその中心にはね」
「ユダヤ教があるんだな」
「もうそれがないと」
 それこそというのだ。
「イスラエル市民でないし」
「ユダヤ人でないか」
「だからね」
「ユダヤ系でもか」
「そう、イスラエル市民でなくても」
 それでもというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧