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吸血鬼になったエミヤ

作者:炎の剣製
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049話 学園祭編 シホの精神の迷宮

 
前書き
Q:とある人物がシホに憑依するタイミングは何時だったでSHOW?

※ヒント:同系列の別の作品の53話辺りを読めば分かるかも? 

 
わたくし、タマモは今現在シホ様へと憑依を決行し、精神世界の深部へと降りております。
先ほどは外側から解呪を試みましたが失敗したので、もしかしたらいつものごとく憑依して一体化すればどうにかシホ様の身体を治せる手掛かりがつかめるかもしれませんから……。
それで次々とシホ様の大切な部分へと入っていきます。
そこには今までデリケートゆえにあまり入った事がないシホ様の心の階層の入り口もあります。
そこにはまるで……迷路のように上下左右の階段が複雑に絡んで平衡感覚を狂わせられるかのような作りになっていて……。
と、そこに、ポンッ!という音とともにエヴァンジェリンの姿が出現しました。

「うむ……なんとか私も入り込めたみたいだな」
「そうみたいですね。わたくし以外がここにも入ってくると言うのはあまり快くありませんが、今は少しでも手が欲しいですからお許しいたします」

そう。なんでエヴァンジェリンまでここに入ってこれているかと言うと、やはり仮契約カードを通して精神をシホ様に流すことによってどうにかこうにか入ってこれたみたいなのです。
普通はこんな使い方などはできないようですが、エヴァンジェリンともなれば容易いのでしょうね。

「しかし……こうも迷路をしているとは……。アヤメ、貴様も今までここまでは入ってきたことはないのだよな?」
「はい、お恥ずかしながらシホ様の精神にも直結する場所ですのでそうやすやすとはいかないのです。ですから今まで憑依するのはシホ様の意識がある比較的軽い場所にわたくしのスペースを構築していたのです」
「なるほどな……ではここからは道案内もいないというわけか」
「そうなります……」

それでエヴァンジェリンは少し顎に手を添えて考える仕草をしながらも、

「ククク……面白いではないか」
「面白い、とは……?」
「なに、ここにはシホにとっても未知の世界なのだろうから、もしかしたらシホ以外の人格もどこかに潜んでいるかもしれないとな」

別の人格……つまりシホ様があの20年にも及ぶ被害で精神に異常をきたして生まれてしまった多重人格の部屋がどこかにも複数存在しているかもしれないという事ですか。
ですが、

「あの吸血鬼然とした人格の彼女もいるかもしれない、と……?」
「だろうな。学園の奴らの魔法で奥底に封印はされたと聞くが完全に封印などできはしないからな。おそらく頑丈ななにかにでも入り口を施錠されて出られないのかもしれんな。
それとは別として先ほどアヤメが封印したモノの居場所くらいは分かるのだろう?」
「当然です!」
「ならばまずはそこに案内しろ。間近で見れば私にもなにかわかるかもしれんしな」
「お任せください」

それでわたくしとエヴァンジェリンは平衡感覚が狂いそうになりそうな迷路を一つの宛を探りながら進んでいく。
その道中でいくつも扉が発見されますが、それはおそらくシホ様の記憶の領域らしく扉には『memory of 衛宮士郎』と『memory of シホ・E・シュバインオーグ』などというネームプレートが掲げられているようだった。

「ここはもう知っているからいいとして……この調子なら他の部屋も順調にいきそうか?それにしても、シホと士郎の扉が別に分かれていたのは何か意味があるのか……?」

エヴァンジェリンがそう呟きますが、なんとなくわたくしはわかりました。

「おそらく、衛宮士郎として過ごした記憶はこの世界に来るまでのもので、シホ様として記憶を失い過ごしたことによって新たに生まれた人格が今のシホ様のものなのでしょうね」
「なんだ? つまり、シホはもう衛宮士郎の記憶を……いや、もう記録と言った方がいいか?それを持っているだけの別人格ということでいいのか?」
「それは心の機微で複雑なものなのでしょうが……その認識で合っているのではと……恐らくですが、シロウの扉を開けば中にはあのシホ様が発動した『無限の剣製』の世界が広がっているのかと……」
「あの剣だらけの世界か。ならば……」

そう言ってエヴァンジェリンはおもむろにシホ様の方の記憶を開けて中を覗いてしまいます。
わたくしもつい一緒に中を覗いてしまいましたが、そこに広がっていたのは……。






「なっ……『無限の剣製』とは違うというのか?」
「みたいですね……」

そこに広がっていた光景は恐らくですが、ナギ達とともに過ごした魔法世界の光景が再現されていました。
ですが、中はとても暗く一切の星も見えない真っ暗な空間の空に一つの黒い月?でしょうか?いや、黒い太陽?とにかく見ていて心がざわめくような……。
そしてそんな世界の中心にまるで石造りの玉座の上に無表情のシホ様がぽつんと座っていました。
わたくしはつい駆けだしそうになりましたが、止まる。

『誰……?』

シホ様の無機質なそんな声とともに明らかに警戒されているようで頭上に何本もの鎌が浮かび上がる。
しかもその鎌はエヴァンジェリンにとっても不吉の対象である不死狩りの鎌『ハルペー』でしたのです。

「…………どうやら防衛機能らしいが歓迎はされていないらしいな。私は少なくともあのシホのもとに行こうとすれば精神を殺されるのは分かり切った事実だ。悔しいが……」
「エヴァンジェリン……」
「少なくともシホの記憶を知っている我らが深追いしてもいいことはない。閉めようか」
「はい……」

それで扉を閉めようとします。
だけど、閉める際にシホ様は涙を流しながら一言。

『ごめん……』

と呟いたのです。
申し訳ございませんシホ様。シホ様のもとに踏み込めない不甲斐ない従者で……。








「さて、気を取り直して別の扉を探すか」
「はい。ですがシホ様本人の記憶でさえあそこまで警戒されてしまいましたからもし別の扉が発見しましてもすぐに踏み込むのは推奨しません」
「だな……慎重に行こうか。この世界で殺されたら私もどうなるかはわからんからな」

そんな感じでまた歩を進めていくとどうやら一つの行き止まりにでも到着したのかそこには四つの扉が存在していました。
その一つはわたくしにも理解できます。
先ほどわたくしが封印した呪詛が濃縮されている扉なのですから。
ギリッと拳を握りしめながら、その扉にかけられているネームプレートを見やるとそこにはこう書かれていました。

『curse of Devil』

と。
なんといいますか、

「なんともわかりやすいな。『悪魔の呪い』とは……。もっと物々しいものが迎えてくれると警戒していたのだがな」
「そうですね。おそらくシホ様に呪詛を送りつける時間しかなかったのでしょうね、塗装なんてあってないものです。この中にあの悪魔の魂もあるのでしょうか……?」
「恐らくな……。して、他の三つの扉も気になるから先に見ておくか?解呪しようとしてトラップがあるのはお決まりだから他の扉も試しに見ておくのも悪くはないしな」
「エヴァンジェリン……その、なんと言いますかフラグのような発言はおやめください」

不死であろうと精神が死ねばどうなるか分からないのですよ?
もっと慎重にお願いしたいものです。
まぁ、意味深に近くにある人格の領域である扉なのですから見ておいて損はないでしょうが……。
ですが、一つの扉はまるでわかり切ったかのようなものでした。
なんせ、



『開けろぉ!!我をここからダセェ!!』



と、何度もダンダンッ!と扉を内側から叩く音が響いてきているのですから。
この扉の中にいるのがおそらくあの残忍な吸血鬼の人格なのでしょうね。
封印されているようで扉の外側には幾重にも頑丈に鎖が巻き付けられていました。

「…………ここは開けないほうがいいな。こちらからも開けられもしないが」
「ええ。シホ様の一部であろうと今は救う手立てはありません。残念ですが……」

その扉のネームプレートにはおあつらえ向きに『■■■〔別人格〕の部屋』と書かれていました。

「名前すら与えられていないのも寂しいものだな……」
「ですね。こちらに友好的な人格でしたらどうにかできたのでしょうが、シホ様の負の感情から生み出されてしまった彼女は、救いは今は保留ですね」

まことに力不足を感じてしまいますが、彼女の事は放置しましょう。
いつか救い出せることを信じて……。

「で?残り二つの扉だが……どうする?これはもしかしたらシホの人格はあと二つもあるという事になるのか?」
「それだけシホ様は心に傷を負っているという事でしょうか……」

エヴァンジェリンとともにそう話していると、その片方の扉から声が聞こえてきた。

『扉の外に誰かいるの……?』

どこか幼い印象を受ける感じの声でした。
これは……シホ様から生み出された幾分友好的な感じの人格の方でしょうか……?
ですが、わたくしとエヴァンジェリンはその扉にかけられているネームプレートを見て驚愕の表情を浮かべました。
そこにはこうはっきりと書かれていたのです。




『イリヤスフィール・フォン・アインツベルンの部屋』



と。
イリヤスフィール!?その名前はシホ様の姉君様の!?
シホ様がこの世界に来る前にもう死んだと伺っておりますが……。
そこにエヴァンジェリンが扉越しに、

「おい貴様。貴様は本当にイリヤスフィールで間違いないのか……?」
『誰かは分からないけど……そうだよ』
「なにか証明できるものはないのか……?ここはシホの精神領域の中だから他人の意識があるのはおかしいだろう?」
『そうなんだけど、そこには深い事情があるの!それよりこの扉を開ける事は出来ないかな!?私、シホの事を助けたいの……でも、ずっとここに閉じ込められていて表に出てこれないの……』

そう言ってイリヤスフィール様は寂しい感じの声を出していました。
これは……友好的な感じなのでしょうか?
それで私は敢えて聞いてみる事にしました。

「もし、あなた様が本当にシホ様の姉であるイリヤスフィール様なのでしたら、どうやってこの空間におられるのでしょうか……?なにか事情があるのでしたら教えていただけませんか……?」

わたくしがそう聞くとしばらくして扉の中から、

『わかった。話すわ。だから信じて!』
「はい。話してくれるのでしたらわたくしも必ずお応えします」

それでイリヤスフィール様は過去でも思い出しているかのようにぽつり、ぽつりと話し出しました。
そう……それはこの世界に来る前に自身が寿命を迎えてしまい、このままではシホ様……もとい士郎様に会えないと自覚したのだろう、例の人形師に自身の魔術回路も自身の人形に込める際に強く願ったら気づいたら魂も一緒に魔術回路の中に封入されて、シホ様が人形に移った際に、シホ様の一部になってしまったという……。

「そんな事がありえるのか……?」
『わからないわよ……でも、私はもともと小聖杯を宿していたんだからそれくらい世界が融通をきかしてくれたんじゃないの?』
「まぁ、嘘は言っていないようだな。ならば表に出てこれるようになったらシホの為に動いてくれるのか?」
『もちろんよ!なんだって私はシロウ……もといシホのお姉ちゃんなんだから!』

そう自身をこめて発言してくれるのですから信用にあたいできるかもしれませんね……。
ですが、イリヤスフィール様は『でも……』と言葉を零して、

『私だけじゃ無理なの……』
「どういうことだ?」
『私の扉に近くにもう一つ扉があるでしょう?そこにはシホがこの世界に来て記憶を失う切っ掛けになったもう一人のアインツベルンがいるの』

最後の扉ですか。
確かにありますね。
そのネームプレートにはこう書かれていました。




『■■■■・アインツベルンの部屋』


と。
だけど、名前の部分だけ削れていて読めませんね。
それと、

「もう一人と言うのはどういう意味ですか?」

イリヤスフィール様にそう問いかけると答えてくれました。

『なんてことはないわよ。この世界に来る直前になってシホの魂に憑りついたのがそのアインツベルン……つまり、私の、いやアインツベルンの始祖様よ』

な、なんか壮大な話になってきましたね……。
イリヤスフィール様の方の事情は理解できましたが、それとは別としてどうやってシホ様に憑りついたのでしょうか……?
イリヤスフィール様は語りました。
なんでも、もともとイリヤスフィール様の魂にも根源に帰らずに一緒にいたらしいのですが、そのアインツベルンとは元をたどれば異世界からやってきた人物(はい。この時点でさらに混乱するワード追加です)だと言って、元の世界に帰る手段を無くしてシホ様達の世界に血と技術を残したという話ですが、シホ様が異世界に飛ばされる際に、もしや元の世界に戻れるのではないか?という淡い期待を抱いてシホ様の魂に憑依したらしいのですが、そのアインツベルンの期待は見事に裏切られて、さらには魂が一つの器に収まりきらずに着火して、異世界に飛んだ拍子にシホ様の衛宮士郎としての部分の記憶が吹っ飛んでしまったという……なんてはた迷惑なうっかりさん!!?





『……と、そんなわけなの』
「ふむ……なんというか、そのアインツベルンは大丈夫なのか……?」

心底憐れんだような感じにそう心配をするエヴァンジェリン。その気持ちわたくしもわかりますとも……。

『それがね……大丈夫でもないの。シホがそれで困難な道を歩んで結果、あんな事になっちゃって塞ぎこんじゃって。私だってできたらあんのクソどもを殺してやりたかったんだしぃ!!』

イリヤスフィール様の本音が漏れて来るようです。

『ただ、それでも始祖様が持っている技術なら今のシホの事をどうにかできるかもしれないの。不死の呪いはもう解呪できないけど、それでもそこにある呪いは払拭できるかもしれない』
「それは本当ですか!?」
『ええ。だからできれば始祖様を説得して私と一緒に扉を開けて外に自由に出れるようにしてもらえると助かるの。そしてシホと一緒に会話したい!!』

それが本音か!まぁ、構いませんね。
シホ様の為を思うのならイリヤスフィール様とその始祖の力はこれから役に立てるでしょうしね……。

「しかし、どうやって扉を開けるのだ?アヤメ、できるか……?」
「うーん……難しそうですね。精神の中にある扉ですから、外側からなにかアクションでもあれば別ですが……」
「外側、か…………お? 良い事を思いついたぞ」

それでエヴァンジェリンはなにやらあくどい笑みを浮かべているではないですか。
あやや~……なにやら不安がよぎる感じですね。




それからその始祖様とも少し会話をしたわたくし達は一旦現実世界へと帰ってきます。
そして、

「よし。アヤメ、ぼーやを連れてこい! 私はうまく事が運ぶように夜までに別荘までシホを運んで待機しとくのでな」
「よろしいですが……え?まさか外からのアクション役にネギ先生を使うのですか!?」
「そうだ。なに、前にも言ったが気心が知れているのなら構わんだろう……?」
「うーーー……今回だけですからね!?」

そう、その内容とはシホ様とネギ先生で仮契約を結んで、タイミングよくイリヤスフィール様とその始祖様二人の扉を開けてしまおうというものだった。
それって仮契約カードにどう悪影響を及ぼすのか分かりませんから、無事に成功してもらいたいものですね……。




とりま、わたくしはネギ先生を探そうとしましたが、

「どうして簡単に見つからないのですかね~~~ッ!?」

なにやらネギ先生の気配を探っていたのに何度も消失するという不可解な出来事にあいました。
もうこれはタイミングよく出会うのを待つしかないのでしょうか……?
そんな時になにやら事態は動いていたらしく、どうやらあの超が退学するという話を偶然会った刹那に聞かされました。

「そ、それでシホさんは今どうなされているのですか……?大会以降姿を見せていませんでしたが……ネギ先生も大変心配していたんですよ?」
「それは、エヴァンジェリンの別荘にネギ先生を連れてきてもらいましたらお話します。シホ様の命運も今やネギ先生頼りなのですから……」
「本当になにがあったんですか!?」

刹那の焦りも今は理解できますが、ネギ先生がいないと話になりません。
そんな感じでその後に超の送別会と称してパーティーが開かれたりして、そのまま魔法関係者が集められてエヴァンジェリンの別荘へと向かおうとしたのですが、

「なんか、別荘に着いてくる人が増えておりませんか……?」

そこには関係者である人物とは別になぜかいる早乙女ハルナと長谷川千雨の姿があり、

「わ、私はなんかいつの間にか巻き込まれたと言いますか……」
「わたしはネギ君の従者になっちゃいました☆」

と言う反応に。

「まぁ、よろしいですが……ネギ先生」
「は、はい……」
「シホ様をお願いいたしますね? ネギ先生だけが頼りなのです。あとそこの下等生物も」
「わ、わかりました!」
「へいっす!って下等生物は酷いっすよ!アヤメの姉さん!」

うるさいので無視しますが、まだシホ様の現状は伝えておりませんから実際に見てもらうしかないですね、不安ですわー……。


 
 

 
後書き
A:はい。というわけでこの世界線でも彼女はいました。
つまり、シホの異世界シリーズが私のやる気次第で今後ももし新作として続くのだとしたら切っても切れない人物に昇華してしまいました。転移直後になにかしら事故に遭うのもだいたいこの人のせい(はた迷惑な……)。
このお話では望んだ世界にはいけずに賭けに負けてしまったわけですね……。





それと、UQホルダーのゲンゴロウのもとの世界にはもしかしたらFateのゲームとかもありそうですね。 
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