八条学園騒動記
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第六百三十六話 泉燗その四
「だから大いにな」
「そちらが発展したのよね」
「錬金術は今で言うと科学だが」
「科学を学んでもね」
「神を否定するか、むしろそれも学問でだ」
「学問ならね」
「学問もアッラーが定められている」
だからだというのだ。
「科学もアッラーを知る為のものだ」
「そうよね、私もそう思うわ」
アンはギルバートに答えた。
「本当にね」
「そうだな」
「科学も全部神の御業よ」
「進化論も恐竜もな」
「そう思うけれど」
それでもというのだ。
「そうしたお国柄で」
「妖怪もか」
「他宗教の妖怪はね」
「創作でも出すとか」
「五月蠅いのよ」
「本当に厳しいな」
「ちなみに漫画や小説やゲームもアニメもドラマも」
所謂娯楽はというのだ。
「何度も言うけれどね」
「ユダヤ教は禁欲的だな」
「紀元前ってちょっと娯楽に浮かれてると」
ユダヤ教が成立した当時はというのだ。
「食べものとか飲みものなくなるから」
「それより働けか」
「あと言うこと聞け」
「モーゼのか」
「さもないと生きられないから」
そうした環境だったというのだ。
「シオンの地って荒地だったしね」
「荒野だったな」
「イスラム教は砂漠でもね」
「千年以上後の宗教だ」
「それで街で発展したでしょ」
「ムハンマドは商人だった」
イスラムの預言者である彼はというのだ。
「真面目に働き裕福に暮らしていた」
「だったらね」
「ずっと余裕があるな」
「すぐに巨大になってエジプトとか手に入れたでしょ」
「メソポタミアと言われた場所もな」
それぞれ穀倉地帯であった、ナイル川とチグリス=ユーフラテス川流域で多くの麦がもたらされたのだ。
「そうなった」
「だったらね」
「娯楽を楽しんでもか」
「よかったでしょ」
「そうだな」
「けれどユダヤ教は違って」
成立した年代も場所もというのだ。
「だからね」
「娯楽にも厳しくてか」
「無茶苦茶規制入ってるから」
漫画やゲームに対してというのだ。
「日本みたいに普通にボーイズラブものとかね」
「ないか」
「書いたら死刑よ」
一言で言った。
「下手したらね」
「それはさっき言ったな」
「そう、同性愛はね」
これはというのだ。
「殺人と並ぶ罪だから」
「それでだな」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「もうよ」
「誰も書かないか」
「死刑になるのよ」
その危険性があるからだというのだ。
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