おっちょこちょいのかよちゃん
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170 聖人との同化
前書き
《前回》
領土の奪還を担うすみ子、川村、山口、そしてヤス太郎達組織「義元」は義教という人間の軍の襲撃を受ける。エレーヌの姿を消す作戦を見破られてしまい、義教の異能の能力を発動させる機械がどこにしまわれてあるのか探知する。そしてエレーヌの援護を得て組織「義元」も反撃する。そしてジャンヌが聖マルグリットを召喚、彼女と一心同体となって参戦する!!
聖マルグリットと同化したジャンヌが動き出す。
「ジャンヌさん・・・。どんな攻撃をするの・・・?」
「兵よ!今より我の能力を借りて戦え!今こそ蜂起するのだ!」
「おう!」
ジャンヌは指先から光を放つ。その光からは西洋の翼と大きな爪を持った竜が現れた。その竜は3匹現れ、角や体色は1匹は橙色、もう1匹は青色、更にもう1匹は紫色の光沢を出していた。
「皆の者!あの竜に乗りなさい!」
「はい!」
ジャンヌが率いる兵は青と橙の竜に乗る。すみ子達も紫色の竜に乗った。
「な!?」
「なんだあの怪物は!?」
「化け物だ!!」
義教の兵は竜を見て恐れをなした。
「何弛んどる!返り討ちにするぞ!」
三匹の竜は火炎放射した。それぞれの体色と同じ色の炎が義教の兵を襲う。
「うわああ!」
「おおお!!」
次々と兵が殲滅されていく。
「くう!わしにその手を使って逆らうとは・・・!!」
義教は腰に差している刀を抜いた。義教の刀は大きな結界を張った。
「残りの者!今回は引き上げるぞ!」
「え!?倒さなくていいんですか!?」
義教の従者が一人、質問した。
「ここは不利だ!撤退する!」
そして義教はすみ子達に撤退の言葉を吐く。
「貴様ら、今回はここまでにしてやる!だが、次会った時はこのようなものでは済まさんからな!!」
義教は残った兵と共に去る。
「逃がすかよ!」
山口は矢を放つ!しかし、義教の刀が出した結界によって弾かれてしまった。竜の火炎放射も弾かれた。そして炎が逆流してくる。
「ゲッ!炎がこっちに逆流してくるぞ!」
「私が!」
エレーヌが両手を差し出した。炎が消えた。3匹の竜は地に降り、皆を降ろした。
「ちっ、逃げやがって、卑怯者が!!」
「またあの人達は体制を整えるでしょう。立て直される前に追いましょう」
「その前によいか?」
ジャンヌが呼んだ。
「え?」
「聖人マルグリット、能力を与えてくれてありがとう」
ジャンヌが元の姿に戻った。そして竜が消えた。
「すまん、変化を解いて。聖人と同化するという行為はとても大変な事なのだよ・・・」
ジャンヌには大きい疲労感を持っており、息切れもしていた。
「ああ、大変だったよな・・・。でも、アンタの能力、凄かったよ!」
山口が賞賛した。
「ありがとう」
「ジャンヌ、お疲れでしょう。貴女の兵も併せて少しお休みください」
「ああ」
「よし、少し休んでから行く事にしよう」
一行は一旦休息を取る事にした。
妲己は匿っている少年が氷の上を滑る北国の遊びの話を遊女から聞いていた。
「ほう、その遊びを坊やがやりたいと?」
「はい。さらに北の方角にずっと雪が降り、氷が浮かぶ氷雪地帯へ行って遊びに行かせてみては如何でしょうか?」
「それはよいであろう。ところでどんなものが必要なのか詳しい者に聞いて見る」
「はい、ありがとうございます」
遊女が去ると、妲己は一つの情報を耳にしていた。
「何々、敵の一人の人間を赤軍が生け捕りにしたのか。それも向こうから降伏という形で・・・」
妲己は屋敷を出て移動した。
「馬を出しておくれ」
「畏まりました」
馬の世話係に馬を用意して貰い、妲己は出発した。この屋敷で飼われている馬は非常に速く走る事ができ、歩くだけでも普通の馬や車よりも非常に速かった。
(そのすけーととかいうもの、それから生け捕りにしたのはどのような人間なのだろうか・・・)
一方、ヴィクトリア女帝の屋敷。エンプレス・マチルダが杯の所有者によって倒されたという報告を受けていた。
「倒されたか・・・」
だが、女帝にとっては彼女の事などどうでも良かった。
「ところで、杖と杯、それぞれの持ち主はこの世界に侵入しているのに誰も食い止められないとはそれだけ強大な能力の持ち主のようね」
「はい」
女帝の側近は返事をした。
「只今、別の兵を派遣させましょう」
「そうね。お願い」
義教は組織「義元」、およびエレーヌやジャンヌの軍から撤退し、己が住んでいる屋敷に戻った。
「はあ、はあ・・・」
義教は己の部屋に戻る。少し休息した後、側近が入って来た。
「義教様、赤軍の人間がお見えになっております」
「丁度良い、通してやれ」
「はっ」
義教の元に現れたのは赤軍の構成員・西川純だった。
「義教様。かなりお疲れのようで」
「赤軍の者よ。お主らが分け与えたあの道具、時折まともに作動しない時がある。これは一体どういう事だ!?」
「申し訳ございません。手に入れたと思った異世界の三つの道具が偽物でその影響でレーニン様の身体が正常に動かなくなり、更には機械にも不具合が生じた模様です」
「その不具合とは何だ?」
「時々機械が正常に動かなくなる事です」
「そんな不良の品を寄こすな!それにレーニン殿が動けなくなってどうするというのだ!?」
「お待ちください!レーニン様は別の人間と一心同体にする事で再び動けるようになります」
「一心同体?と言うと?」
「今、敵勢力の一人がこちらに寝返ってくれたのですよ。レーニン様も復活できると信じております」
「なら、よかろう。レーニン殿が復帰するまで、わしは時が来るのを待たせていただく」
「はい、では失礼いたします」
西川は部屋を出て行った。
かよ子達藤木救出班は戦争主義の世界の中の町で一人の女性と対峙していた。
「だ、誰なの?」
「私は趙姫。この町を治める者。よくもこの町を荒らした罪としてその最強たる杖を頂こうか!」
「ちい、どうしようもねえな!」
大政が槍を構える。そして振るった。
「これでも喰らえ!」
大政の槍は風を起こし、趙姫を吹き飛ばした。しかし、趙姫はびくともしなかった。
「この女子も機械を持っておる!」
「大政、それでいい!某が次に行う!」
次郎長が切り込みに掛かった。
「私に近づこうだなんて自滅に近いぞ」
「なぬ!?」
趙姫の目と体が緑色に光り出した。そして別の姿へと変化する。頭部は人間の姿のままだったが、その頭には角が生え、口の歯は牙のように伸び、体は牛のような姿となった。
「ば、化け物だブー!」
ブー太郎はその恐ろしい変化に震えた。
「私は饕餮の姿に変化する事ができるのだ。貴様、喰らいつくしてくれる!」
「な・・・!!」
次郎長が趙姫に食殺されそうになる。次郎長は刀を振る。
「でえーい!」
大きな風が槍状の塊となった。しかし、趙姫はそれを容易く噛み砕いた。だが、その隙を突いて次郎長はその場から離れる。次郎長はのり子の人形・キャロラインの能力でかよ子の羽根に瞬間移動で戻って来た。
「なら、こいつを喰らえブー!」
ブー太郎は放水する。しかし、避けられた。饕餮と化した趙姫がかよ子達が乗る羽根に接近して来る。
「ひえええ!!近づいてくる~!!」
友蔵は怯えて腰を抜かした。
(来る・・・!!どうか、結界で防いで・・・!!)
かよ子は羽根の結界が作用する事を祈った。
後書き
次回は・・・
「噛み砕かれる攻撃」
饕餮の姿で襲い掛かる趙姫に対してかよ子は自身の羽根の結界で防御しようと試みる。結界で彼女の攻撃は防ぎきる事ができるのか。そして大野達が攻撃をするも趙姫になかなか留めを刺せない状況であり・・・。
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