| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

最終話 温もりその六

「やっていこうね」
「二人でね」
「そうしていこうね」
「わかったわ」
「じゃあ寒いし」
 かなり冷えてきた、そのお陰で酔いも醒めてきた。
「帰ろうか」
「そうね、それで今日はね」
「もう寝よう」
「ええ、そしてね」
「また明日ね」
「そうしましょう」
「それじゃあね」
 ここでだ、僕は。
 無意識のうちに香織さんの右の手首を自分の右手で握った、そしてすぐに気付いて香織さんに尋ねた。
「いいかな」
「握るんじゃなくてつなごう」
 香織さんは僕に微笑んでこう返した。
「そうしましょう」
「つないでいいんだ」
「だって私達付き合ってるから」
 だからだというのだ。
「もうね」
「そうしていいんだね」
「まだ手をつなぐ位だけれど」
「これからは」
「少しずつね」 
 僕に微笑んだまま話してくれた。
「先にね」
「進んでいけばいいね」
「だからね」 
 それでというのだ。
「今はね」
「手と手をつないで」
「それで帰りましょう」
「それじゃあね」
「そうしたら」
 香織さんは微笑んでさらに言った。
「温かいしね」
「そうだね、手と手の温もりが伝わって」
「そうなるから」
「余計にいいね」
「人が誰かと一緒にいるのは温もりが欲しいから」
 ここでこんなことも言った。
「そうも言うし」
「そういえばそうも言うね」
「だからね」
「今は」
「今からね」
「あっ、これからも」
「そうしていきましょう」 
 手をつなごうというのだ。
「そうしましょう」
「うん、じゃあ一緒に」
「帰りましょう」
 笑顔で話してだった。
 僕達は手首を持っている状況から手をつないだ、僕の左手と香織さんの右手がそうなった。そして。
 香織さんは寒さの中で白い息を出しつつ言った。
「とてもね」
「温かい?」
「ええ」
 そうだと言ってくれた。
「今はね」
「そうなんだね、僕もね」
「温かいのね」
「凄くね、香織さんの温もりが伝わってくるよ」
 それが直接だ。
「それでね」
「私も。義和の温もりが伝わって」 
 香織さんもだった。
「凄くね」
「温かいんだ」
「ここに来た時は一人だったけれど」
 それがというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧