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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百四十一話 八条荘に帰ってその十五

「出来るだけな」
「楽しむことだね」
「数の子や海老もいいけれどな」
「他のものもだね」
「楽しめよ」
「そうするね、じゃあ」
「ああ、今からまた母さんと食うな」
「今度は何食べるのかな」
「牡丹鍋だよ」
 こちらだというのだ。
「それ食うな」
「お袋とだね」
「そうするな」
「牡丹鍋ね」
 猪肉の鍋だ。
「あれもね」
「美味いだろ」
「豚に似た味でね」
 猪を家畜にしたのが豚だから当然だ。
「それで少しワイルドな」
「硬くてな」
「そうだけれどね」
 それでもだ。
「美味しいね」
「その猪のな」
「牡丹鍋をだね」
「母さんと食うな」
「そうするんだね」
「すき焼きも考えたけれどな」
 それでもというのだ。
「猪の方が滋養にいいからな」
「それでなんだ」
「母さん戻ったばかりで滋養も必要だ」
「それでだね」
「そっち食うな、じゃあ阪神のことも願ったし」
「それでだね」
「今から食って来るな」
 こう言ってだった。
 親父は電話を切った、そして僕は夕食に向かった。


第三百四十一話   完


                  2021・7・23 
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