おっちょこちょいのかよちゃん
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168 先に進むのみ
前書き
《前回》
12人の使徒を操る女・エンプレス・マチルダと戦闘になったりえ達は悠一のテクンカネで阿弖流為と母禮を召喚し、更に杯の能力で氷の精霊、そして地の精霊で対抗する。氷の精霊と鈴音の錫杖で作り出した氷の壁で防御しつつみゆきのブーメランで地面を掘削し、大地の精霊による地からの攻撃、さらにありが召喚した神、みゆきのブーメランでエンプレス・マチルダを完全に追い詰めた!!
「終わったわね」
りえは瀕死となったエンプレス・マチルダに近づく。
「エンプレス・マチルダとか言ったわね。最後に聞くけど、杉山さとし君って子を探してるけどどこにいるか分かる?」
「スギヤマサトシ・・・?」
「私達の所から去って行った男の子の名前よ」
「私は、そんな子、知らない・・・。知りたきゃ、私達の本部や、セキグンとやらの組織に聞けば・・・?」
エンプレス・マチルダは力なく答えた後、息絶える。そして光となって消滅した。
「エンプレス・マチルダはその杉山君について何も知らなかったようだね」
「ええ」
「シャクシャイン、この先には町とかあるのかしら?戦争の世界が乗っ取って住んでいる所とか?」
「ああ、いくらでもある。きっとお主らとぶつかったら殺す気でいるつもりだろうな」
「私は・・・、行くわよ。杉山君を見つけに、それで乗っ取られた町も取り返してねっ!!」
りえは探し続けたいと渇望する。夏休みに喧嘩しながらも自分が喘息である事に気にかけてくれ、寄せ書きの色紙にも「絶対に夢、叶えろよ!」と書いてくれたあの男子を。
「冬田さん、私達を羽根に乗せてっ!」
「え、ええ!」
皆は先を急いだ。
藤木救出の為に進むかよ子達藤木救出班はとある町に来ていた。どこか昔の中国を思わせるような町だった。
「やな感じがするぜ」
大野は懸念した。
「どうしてじゃ。折角街に来たんじゃから休ませて貰えばよいではないか。のう、まる子?」
ズボラなまる子でも呑気な友蔵の言葉にも流石に引いた。
「あのね、この町に住んでいるのは敵ですよ。いつ襲ってくるか分からない状況なんですよ」
関根は友蔵を叱責した。
「そ、そうなのか!?」
友蔵は頭を抱えて怯えた。
「この羽根、玄奘さんの能力で強くなってるけど、大丈夫かな?」
かよ子はできれば自分達の姿を見せずに飛行できればと思った。その時・・・。
「おい、なんだ、あれは?」
「敵だ!」
「ぶっ倒せ!!」
どうやら町の住人に気付かれてしまったらしい。かよ子は慌てふためく。
一方、本部守備班を担う長山は、神通力の眼鏡で杉山の行方を探っていた。
(どこだ、杉山君・・・)
そして長山は杉山の姿をようやく発見した。
(いた・・・!!)
眼鏡から見える杉山は異世界の敵と相対しており、更には赤軍の人間と思わしき人物といる。共に行動しているみたいだった。
(あれは・・・、赤軍のメンバーじゃないか!?)
長山はとんでもない様子を見てしまった。慌てて杉山に連絡しようとするが、繋がらない。
(そうか、通信機を捨てたんだっけ?)
長山は領土攻撃班のりえ達に連絡を入れた。
りえ達の通信機が鳴った。
「はい、もしもし」
『こちら長山。皆、杉山君は赤軍の人間と会ったみたいだ!』
「ええっ!?」
皆は驚いた。
「解ったわっ、今すぐ連れ戻しに行くわっ!!」
『ああ、しかし、解ってると思うけど、赤軍が固まっている所みたいだから無茶するなよ!』
「ええっ!!ありがとうっ、気を付けるわっ!!」
りえはすぐ様通信を切った。
さりは連絡を終えた長山に聞く。
「長山君、杉山君が赤軍に会ったって?」
「はい、声までは聞こえませんでしたが」
「その杯を持ってる女の子が杉山君を助けに行ったって事・・・?」
「はい、そうみたいです!」
「本部にも連絡を入れた方がいいと思うわ。これ・・・。もし赤軍の所にいたらあっさり殺されるか生け捕りでも人質として取引にされるかのどっちかよ!」
「は、はい!!」
さりは通信機で本部の方に連絡を入れた。
「こちら本部守備班・羽柴さり」
『こちら本部のイマヌエルだ。どうかしたか?』
「今、杯の持ち主の女の子達が私の姉と共に杉山君を連れ戻しに行くって連絡があったの。杉山君を連れ戻しに行く行動をさせても大丈夫かしら?もしいいなら別の領土攻撃班にも援軍をお願い」
『そうか、杉山さとし君の救出か。許可しよう。一部の領土攻撃班に安藤りえちゃん達との合流を命じるよ』
「ありがとう」
『ところで杉山さとし君の行方については解っているかい?』
「はい。長山君の眼鏡で確認しました。今、杉山君はなぜか赤軍と行動を共にしています」
『何だって!?すぐに連れ帰さなければならない所だ。一体何されるか解らん。連絡ありがとう!』
通信は切れた。
(これで大丈夫かしら・・・?)
同じ頃本部の一室。りえの母は心配になった。
「りえ、大丈夫かしら?赤軍の所に行くって事は敵の本部に行くって事でしょ?」
りえの母は娘が心配になった。
「安藤さん、大丈夫ですよ。私の娘とその夫もいますし、本部に向かうって事はもしかしたら剣を取り返しに行っているさらに別の娘に甥と合流できるかもしれませんよ」
奈美子はりえの母を落ち着かせようとした。
「しかし、大きく離れた経路を通っているから剣奪還班と合流できるかは難しい。兎に角、領土攻撃班の一部を杉山さとし君の連れ戻しに参加させよう」
「イマヌエル、お願い!」
各地で奮戦する領土攻撃班にイマヌエルからの指令が下る。
『こちら本部、イマヌエル。領土攻撃班の皆。只今杯の所有者達が行方不明の杉山さとし君を追跡中だが、只今赤軍と行動を共にしている事が明らかになった!彼女らだけに任さず付近にいる者、なるべく合流して共闘を求む!』
イマヌエルの通信が切れた。
「おい、立家。やべえ話やな」
「ああ、今、俺達の付近を移動しとるんやないんか?」
二人の高校生がイマヌエルの連絡を聞いて不安な顔をしていた。二人は鎌山健次郎と立家隆太。大阪の高校に通っている。鎌山は風を操って攻防を行う鎌を、立家は遠距離、近距離と問わず自在に攻撃が可能な鉄爪を使用する。二人は領土攻撃班を担っていた。
「お前達、気弱になるな。全力で援護する。私も協力を惜しまん」
同行しているこの世界の男性が進言した。そして更に同行している女性にも呼ぶ。
「虞よ、移動できるか?」
「はい」
虞と呼ばれた女性は頭の髪飾りとしてつけていた赤い花を出して花弁を舞わせ、皆を空中移動させた。
イマヌエルからの情報はすみ子達にも届いていた。
「杯の所有者ってあの東京の女の子だろ?行けるか?」
「私達の方角からして無理ですね」
山口の言葉に対してエレーヌは断言した。
「そうか、仕方ねえ」
「でも、領土攻撃班は数多くいる。他の人間達に委託できるはず。私達は相手の領土を奪い返す事に専念しよう」
さらに同行しているジャンヌもそう答えた。
「・・・ん?」
「ジャンヌさん・・・、どうしたの・・・?」
「来ているんだ・・・。敵が!!」
「は・・・」
すみ子も言われて胸の鼓動が激しくなった。さらに異様な音、匂いだけでも違和感を感じた。すみ子の見聞の能力はここに来てから心臓の身でなく、鼻や耳でも感知できるようになっていたのだ。
「本当だ・・・。それもかなりの大群が・・・!!」
「何だと!?」
「か、返り討ちにするでやんす!!」
ヤス太郎はパチンコで周囲を発砲した。
「ヤス太郎、危ない・・・!!」
すみ子が銃で結界を張った。大量の矢が飛んできたが、結界で防いだ。
「なんて攻撃だ!」
ジャンヌは耳を澄ます。
「・・・来てるのは義教って男の軍だ」
「ヨシノリ!?」
「か、囲まれてるぜ!」
川村はバズーカで吹き飛ばした。しかし、あまり効果がない。
「チッ、機械で防いだか!」
「そこの邪魔もの共、貴様らに逃げ道はない、ここで焼き討ちにされるが良い!!」
一人の男が叫んだ。
「あ、あれだ!あれが義教!!恐怖政治を行ったという奴だ!!」
ジャンヌが指を差した。しかし、組織「義元」は義教の軍に包囲されてしまっており、逃げる術もなかった。
後書き
次回は・・・
「苛烈なる将軍、義教」
入り込んだ町の住民から襲撃される事になったかよ子達は返り討ちを図るが、その中にある女性がかよ子の杖を確認して狙う。そして異能の能力の機械を持つ義教の猛攻にすみ子達は大いに苦戦してしまい・・・!?
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