恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百十話 八神、都に来るのことその八
「白装束の連中もいますけれど」
「けれど俺達の相手はだ」
「あくまでオロチだ」
彼等が第一の敵だとだ。二階堂と大門は真吾に話す。
「奴等を封じてこそだからな」
「この世界での役割を果たすことになる」
「あのおっさん、いや美女達か」
草薙はあえて怪物達をこう呼んだ。気遣い故にだ。
「あの人達が言ってたことで全部わかったからな」
「本当にな。何もかもな」
「二つの世界のことがな」
二階堂と大門も草薙の言葉に頷く。
「こちらの世界で奴等はそれぞれの考えを実現させるつもりだった」
「そして今は赤壁にいてだ」
「そこで俺達と戦うか」
「そうするということもな」
「じゃあ俺はやってやるさ」
草薙は確かな笑みを浮かべて言った。
「俺のやるべきことをな」
「じゃああれですかね」
ここでまた言う真吾だった。
「八神さんもですね。草薙さんもそうですし」
「そうだろうな」
草薙は真吾のその言葉に頷いて述べた。
「だからあいつもここに来たんだよ」
「八神さんの運命を果たす為に」
「そういうことになるな。それじゃあな」
「はい、じゃあですね」
「出陣して奴等に会ったその時こそな」
笑ってだ。仲間達に話すのである。
「この世界でやるべきことをやるさ」
「ああ、俺達もな」
「そうするとしよう」
二階堂も大門も頷き。そうしてだった。
彼等は戦いに赴こうとしていた。その中の夜のことだった。
しかし夜は長い。それでだった。
急にだ。彼等の天幕の中にだ。神楽が来て言うのだった。
「あら、四人共起きていたのね」
「ん?何だ?」
草薙が彼女に顔を向けて問い返す。
「飲むっていうのかよ、今から」
「ええ、どうかしら」
微笑みだ。四人に言ってくる。
「よかったらね」
「そうだな。何か寂しいところだったしな」
「それならだ」
二階堂と大門も応える。そうしてだった。
その彼等にだ。神楽はまた言った。
「じゃあ。今から皆で飲みましょう」
「よし、それじゃあな」
「我等もつまみを持って行くとしよう」
「鰯持って行きますね」
真吾はそれだった。
「やっぱり酒には鰯ですよね」
「君は本当に鰯が好きね」
神楽は相変わらず鰯好きな真吾に少し苦笑いになった。
「おうどんか鰯しかないのかしら」
「あれっ、けれど鰯って美味いですよ」
「おうどんもね」
「ですからいいじゃないですか」
特に思うことなくだ。真吾は言う。
「鰯におうどんで」
「それも冷凍うどんよね」
「何でこの時代のこの世界にあるかは謎ですけれど」
「それを言えばジャガイモも唐辛子もね」
「まあそれでも。あるからにはですね」
「食べるに越したことはないわね」
「はい、それじゃあ」
こう話してだった。そのうえでだ。
四人は神楽と共に酒も飲むのだった。その飲んでいる場は広場だった。全員で車座になって飲んでいる。そしてそこにいたのは。
呂布だった。彼女がビリーの話を聞いている。ビリーは酔いながら言っていた。
「俺はよ、それこそな」
「妹さんを」
「そうだよ、ずっと手塩にかけて育ててきたんだよ」
「ビリー一人で」
「親父もお袋も早くに死んでな」
「それはねねと同じなのです」
常にだ。陳宮は呂布と共にいる。それはここでも同じでだ。
ビリーの話を聞いてだ。納得した顔で頷くのだった。
「ねねも。両親が」
「そうか。あんたもなんだな」
「けれどビリーは悪いこともしながら」
「悪いことだけ余計だよ」
すぐにむっとした顔で陳宮に返す。しかしそれでもだ。
彼は陳宮にもだ。こう言うのだった。
「けれど俺一人がそうなってあいつが幸せになれるんならな」
「いい」
「ああ、それでもいいさ」
こうだ。達観した顔で呂布に答える。
「俺は別にいいんだよ」
「そう。ビリーのそういうところは認める」
「けれどなんだな」
「そう。やっぱり悪いことはよくない」
こう言うのである。
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