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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百十話 八神、都に来るのことその五

「それとも貴様等が俺と戦いたいのか」
「いや、それはいい」
「貴様の様な危険な奴とは決してな」
「戦えば命が幾つあっても足りない」
「それではだ」
 こう言ってだ。兵達は慌ててだ。
 八神を取り囲むそれを外してだ。そうしてだった。
 道を空けた。八神は無言で彼等の横を通り過ぎてだ。そのうえで。
 劉備達の前に出て来た。言ったのだった。
「オロチ達は俺がやる」
「ええと。それって」 
 それを聞いてだ。劉備は。
 きょとんとした顔になりだ。目の前にいる八神に問い返した。
「私達と一緒に?」
「それは違う」
「違うって」
「俺はオロチ達と戦うだけだ」
 あくまでそうだとだ。八神は劉備に話す。
「貴様等と共に戦うつもりはない」
「そうなの」
「俺は誰とも馴れ合うことはしない」
 彼にとっては共闘とはそういうことなのだ。だから言ったのである。
「俺は俺だけで戦う。そうするだけだ」
「じゃあここにいるのは」
「そうだ。ここにいればオロチと戦うことになる」
 そうなるとだ。八神は言う。
「だからここにいる」
「そうなの」
「安心しろ。京とは今は闘わない」
 八神はこのこともだ。劉備に話した。
「まずは奴等だ」
「そうなの。じゃあ」
「戦いの時になったら言え」
「ええ。じゃあその時に」
「奴等は俺が倒す」
 こう言ってだった。そのうえで。
 八神は劉備達のところに入った。そうしたのだ。
 だがだ。その八神にだ。ビリーと影二はだ。
 わざわざ彼のところに来てだ。睨み据えて言うのだった。
「よく来れたな」
「あの時のことは覚えているな」
「俺は何かあると忘れることはない」
 こうだ。八神も二人に返す。
「あの時はただの後始末だ」
「後始末で俺達にああしてくれたのか」
「随分な礼だったな」
「俺は貴様等と仲間になった覚えはない」
 ここでも八神だった。あくまで。
「最初からああするつもりだった」
「ちっ、何て野郎だ」
「裏切りなぞ我とてしない」
「裏切り。俺は裏切ったつもりもない」
 影二にだ。こうも返した八神だった。
「言った筈だ。只の後始末をしただけだ」
「じゃあ俺が今ここで手前を潰してもな!」
「それは後始末になるな」
 二人の気がだ。いよいよ危険なものになっていく。
「ここで殺してやる!」
「容赦はしない」
「いいだろう。振り掛かる火の粉は払う」
 八神も変わらない。そうしてだった。
 彼はそのだ。獣を思わせる独特の構えを取りだ。
 そのうえで二人と対峙しようとする。しかしだった。
 その両者の間にだ。今は。
 関羽が入りだ。こう言った。
「待て、私闘は禁じられている」
「んっ、関羽かよ」
「何だというのだ」
 ビリーと影二がだ。その関羽に問い返す。
「これはな。俺達にとっちゃな」
「絶対にしなければならないことだ」
「過去のことだな」
 関羽はあらためて二人に言った。
「確か御主達は」
「ああ、こいつに最後の最後でな」
「いきなり暫くは立ち直れないだけの傷を受けた」
 その過去のことをだ。二人は忌々しげに話す。
 
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