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ドリトル先生と幸せになる犬

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第十一幕その三

「全て」
「そうですか、でしたら」
「ご協力お願いします」
「全て。貴方達の一方的なお話だけでなく」 
 いいことばかりお話したそれだけでなくというのです。
「国崎さんのご一家からもふわり自身からも」
「先生は生きものとお話が出来ますね」
「だからですね」
「それでふわりもそう言ってるなら」
「私達のところに戻りたいって言ってますね」
「いえ、貴方達がふわりにしたことを」
 先生は穏やかですが強い声で述べました。
「全て聞きました」
「私達のですか」
「ふわりを可愛がっていたことを」
「途中までは」
 向かい側に座る二人に告げました、先生の側には王子とトミー、そして動物の皆がいますが先生を見て二人は全く見ていません。
「そうでしたね」
「どういうことですか?」
「途中までとは」
「自分達の子供が出来ますと」
 このことを言うのでした。
「お散歩も行かなくなりご飯を忘れる様になった」
「子供が産まれる直前で」
「仕方ないじゃないですか」
「そういう問題ではないです」
「そういう問題じゃない?」
「子供が産まれる直前でもですか」
「生きものですから」 
 だからだというのです。
「命あるものです、お散歩もご飯もです」
「忘れるなっていうんですか」
「そんな時でも」
「はい」
 まさにという返事でした。
「奥さんがそうでもご主人が朝早くやお仕事から帰って出来ましたね、しかもふわりは我慢していましたよ」
「我慢って何ですか」
「そんなこと当然ですよ」
 二人は先生の言葉に怒って言いました。
「子供が産まれるのに」
「それ位の我慢は」
「いえ、それは違います」 
 先生はまた答えました。
「犬にとって散歩は必要なものでご飯は当然です」
「一食位抜いてもいいじゃないですか」
「死にませんよ」
「お散歩だってそうですよ」
「死なないですから」
「・・・・・・・・・」
 二人の言葉にでした。 
 トミーも王子の動物の皆も憮然となりました、二人の方は見なくてもそうなりました。ですが二人は彼等のことにも気付こうともせず言い続けました。
「死なない様にしていました」
「問題ないじゃないですか」
「そうですか、そして子供が出来れば」
 先生はそれからのこともお話しました。
「ずっとケージに入れたまま出しませんでしたね」
「家の中でしたよ」
「ご飯はやっぱりあげていましたよ」
「赤ちゃんばかり見ていましたね」
「子育てだから当然です」
「子供は手がかかります」
 二人はこのことにもきつい顔で反論しました。
「だから仕方ないです」
「どれだけ大変か」
「先生は独身だそうですね」
「ならおわかりにならないですね」
「僕は確かに独身です」
 先生もその通りと答えました。 
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