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ドリトル先生と幸せになる犬

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第十一幕その一

                第十一幕  先生が渡す引導
 何と先生のところにふわりの前の飼い主の人達がお会いしたいと申し出てきたのです、王子は先生の大学の研究室でそのお話を聞いた瞬間に顔を顰めさせました。
「それ絶対にね」
「ふわりのことだね」
「そうだよね、何処かで先生のお話を聞いて」 
 先生と一緒に紅茶を飲みつつ言いました。
「それで先生に今の飼い主の人達を説得してもらって」
「そうしてだね」
「ふわりを自分達のものにしたいんだよ」
「僕は生きものとお話が出来るからね」
「犬ともね」
「それにあらゆる生きものの友達だから」
 このこともあってというのです。
「説得出来ると思って」
「先生に会いたいんだね」
「そうだね」
「ふわりを捨てたのにネットで人気が出てお金になるからまた飼うなんて」
 トミーも紅茶を飲みつつ言いました。
「あつかましいというか図々しいというか」
「浅ましいね」
「そうですね」
「どんどん残念な気持ちになってきているよ」 
 先生はミルクティーを飲んでいますが今はその美味しさもお口に入っていません、とても苦い気持ちになっているからです。
「人間のそうした面を見てね」
「そうですよね」
「何処までも恥知らずで浅ましくて」
「ふわりのことを何も考えていないですね」
「つくづくね」
 こうも言う先生でした。
「あの人達にとってふわりはおもちゃなんだよ」
「いらなくなったおもちゃは捨てて」
「それで死んでもいい」 
 オソツオサレツは怒っています。
「そんな風だったのにね」
「自分達の赤ちゃんが出来たら」
「娘だのお姉ちゃんになるとかふわりに言っていてそれよ」 
 ガブガブもかなり怒っています。
「どんな人間性よ、二人共」
「それまで可愛がっていたのに飼育放棄でね」 
「ケージの中に入れて無視してお散歩も行かない」
 チープサイドの家族もカンカンです。
「遊ぶこともしない」
「ご飯を忘れることもあったし」
「それでもういらない」 
 チーチーも当然怒っています。
「最低じゃない」
「それで動画で人気が出て広告のお金が入るから飼うって」
 ホワイティも言うことでした。
「最低と言ってもまだ足りないよ」
「これが餓鬼ね」
 ポリネシアは断言しました。
「まさに」
「人間でなく餓鬼になった人の所業」
 老馬はこのことを知りました。
「まさにそれだね」
「いや、見たくなかったけれど見てよかったかもね」  
 トートーはこう思いました。
「餓鬼がどんなのかわかったから」
「最低と呼ぶにも値しない最低」 
 ジップはこう表現しました。
「まさにああした人達だね」
「あれが餓鬼なんだね」
 ダブダブもいつもの明るい調子はないです。
「よくわかったよ」
「全くだよ、会う必要はないね」 
 王子ははっきりと言いました。
「そんな人達とは」
「僕もそう思います」 
 トミーも王子と同じ意見でした。
「あんな人達とは」
「いや、会うよ」 
 けれど先生はこう答えました。
「あの人達ともね」
「会うんだ」
「そうされるんですか」
「僕もあの人達に言いたいことがあるからね」 
 だからだというのです。 
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