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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百三十五話 お化け屋敷の次はその九

「その恨みや憎しみ、怨念が完全に出ているから」
「怖いのね」
「だからあの兎も怖くて」
 そしてだ。
「童話のああした復讐とかはね」
「怖いのね」
「童話って本当に怖いよ」 
 よく読むとだ。
「勧善懲悪でもね」
「その復讐の場面が残酷過ぎて」
「そこまでするのかだから」
「幾ら何でもやり過ぎね」
「ギリシア神話みたいな」
 この神話はそれこそサイコ殺人の宝庫だ、大量虐殺もあるし滅茶苦茶なところがある。
「ああしたのはね」
「幾ら何でも」
「怖いから」
 その場面もそこに出ている人間の負の感情もだ。
「効果あるよ」
「ただ幽霊や妖怪出すよりも」
「そうだと思うよ」 
 かなり確信を持って思っている。
「本当にね」
「童話はそうなのね」
「怨霊と同じものが出ているから」
 幽霊が恐ろしいと言われるそれがだ。
「だからだよ」
「言われてみればそうね」
「歌舞伎だって怖い作品怖いしね」
 中には迂闊に名前を出したら本当に祟られそうな作品もある、上演前にお参りをする作品もあるから凄い。
「幽霊でもね」
「この前大学で岩藤やってたわね」
「あれだよね、岩藤が殺された後の」
「幽霊になった作品ね」
「あの作品岩藤が空飛んで出て来るけれど」
 そして骸骨になっても出て来る。
「岩藤が怖いのは」
「怨霊だから」
「只でさえ性格が悪かったのに」 
 生前を描いた作品でもだ。
「それが殺されてね」
「怨みを持っているから」
「怖いんだよ」
 怨霊になっているからに他ならない。
「本当に」
「その怨霊と同じなのがかちかち山の兎で」
「三匹の子豚や狼と七匹の子山羊も」
 それが仕返しでもだ。
「もう憎悪や復讐に心を支配されて」
「狼を煮殺して食べたり井戸に落ちて死ぬ様にしたから」
「やっぱりその時の子豚の兄弟や山羊の一家の顔は」
 想像するとだ。
「怖いよ」
「そうよね」
「シンデレラも継母や義理のお姉さんが目をついばまれるの見てどうなのかな」
 自分をいじめていた相手がそうなってだ。
「笑っていたらね」
「やっぱり怖いわね」
「歌劇がこの前上演されてたけれど」
 学園の中にある歌劇場でだ、ロッシーニのチェネレントラだ。
「あっちじゃチェネレントラ、シンデレラは復讐していないからね」
「あのシンデレラ強いわよね」
「頭いいしね」
「それに継母じゃなくて継父で」
 香織さんもこのロッシーニの作品について応えてくれた。
「私も観たけれど」
「あの継父もお姉さん達も憎めないからね」
「いじめていてもね」
「妙にユーモラスで愛嬌があって」
 それでだ。 
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