ドリトル先生と幸せになる犬
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第十幕その二
「何しろ彼等自身が全て壊してそれを全く直していないからね」
「それじゃあだね」
「どうにもならないね」
「あの人達が何を言っても」
「それでもだね」
「うん、けれどね」
ここでこうも言った先生でした。
「ふわりの前の飼い主の人達の命運は半分は定まったね」
「半分なんだ」
「全部じゃないんだ」
「そうなんだ」
「今わかっている時点でね、それでね」
さらに言う先生でした。
「後の半分で全部定まるね」
「その命運はいいものじゃないね」
「そうですね」
王子とトミーが先生の今の言葉に応えました。
「聞く限りだと」
「そうですね」
「何でもあの人達はもう一人娘さんが産まれたばかりだそうだけれど」
先生はそのふわりの前の飼い主の人達のお話もしました。
「上の娘さんは一歳になったばかりで」
「まだ赤ちゃんだね」
「どちらの娘も」
「じゃあ子育て大変ね」
「赤ちゃん二人だと」
「そうだね、そのことからもどうなるか」
先生の目は冷静なものでした。
「わかるよ」
「というかよね」
ガブガブは怒った声で言いました。
「赤ちゃん産まれてその赤ちゃんでばかり遊んでふわりのことを飼育放棄したのよね」
「それがはじまりだったね」
老馬も怒っています。
「そもそもね」
「無視して遊ぶこともお散歩もしなくなって無視して」
「それで私はここだよってふわりが鳴いたら五月蠅いで」
チープサイドの家族もプリプリしています。
「それで赤ちゃんも自分も参るって言って」
「保健所にポイだったね」
「育児疲れとはとても思えないよ」
「赤ちゃん産まれた途端にそれだしね」
オシツオサレツの目はむっとしたものです。
「愛情ある人がペット保健所にあっさりポイとかしないし」
「赤ちゃんにもどうだか」
「そのはじまりのことだね」
トートーの声も怒ったものです。
「赤ちゃんのことは」
「それで二人目産まれたならね」
ホワイティの言葉には今はシニカルな響きがあります。
「さぞかし大事にしているんだろうね」
「おもちゃとしてね」
チーチーもシニカルです。
「精々そうしているんだろうね」
「おもちゃ二つもあったら飽きないわね」
ポリネシアもいつもと違って辛辣です。
「さぞ楽しい毎日でしょうね」
「それでふわりを返せ」
ジップは同じ犬のことだけに一番怒っています。
「何なんだろうね」
「魂がとてつもなく汚れてるよ」
ダブダブはこう思いました。
「そう思ったよ」
「全くだね、ただ皆一つ見落としがあるね」
先生は動物の皆に考える顔で言葉を返しました。
「ふわりが捨てられたことを考えると」
「どういうこと?」
「僕達に見落としがある?」
「それは何についてなの?」
「すぐにわかるよ、じゃあ日曜はね」
この日はというのでした。
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