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旱魃の中で

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第一章

                旱魃の中で
ボツワナはこの時旱魃だった、それでヨハネスブルグから仕事で来ているトラックの運転手ウィリアム=ハーグ褐色の肌と丸い目で白い歯のうち二本程抜いてファッションにしている彼は同僚達に空閨時間水を飲みつつぼやいた。
「酷いな」
「ああ、暑いしな」
「しかも見渡す限り水ないしな」
「ここで住んでる人達大丈夫か」
「生きものも見ないぞ」
「これじゃあ作物も全滅だろ」
「飢饉にならないか」
 ハーグはこのことを本気で心配した。
「本当に」
「これはなるかもな」
「冗談抜きで危ないぞ」
「今のこの辺りはな」
「早く雨が降って欲しいな」
「全くだな」
 皆水を美味そうに飲みながら話していた、そんな中で。
 ふらふらと一匹の象が来た、その象は。
「あれっ、象じゃないか」
「この大きさと顔だとまだ赤ん坊だな」
「象の赤ん坊か」
「一匹だけだが群れからはぐれたか?」
「母親いないのか?」
「パオン・・・・・・」
 見ればだった、象の赤ん坊は。
 非常に衰弱していて今にも倒れそうだった、ハーグはその象を見て言った。
「水が欲しいかもな」
「こんな旱魃だしな」
「ちょっと飲ませてやるか」
「このままだと死にそうだしな」
「しうしてやるか」
「ああ、そうするか」
 仲間達の言葉に頷いてだった。
 ハーグはトラックに積んでいるペットボトルのうちの一本を取り出して象に飲ませた、象はその水を美味そうに飲みほした。 
 だがその象を見てだ、ハーグは同僚達に話した。
「一匹だけで赤ん坊だしな」
「このままじゃ死ぬな」
「今は水飲めたけれどな」
「放っておけないな」
「じゃあ助けないとな」
「そうしないとな」
 同僚達も頷いてだった。
 彼等は力を合わせて象をトラックのうちの一台に乗せてだった。
 近くの野生動物保護センターに連れて行って事情を話した、そして象を引き取ってもらった。 
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