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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百三十二話 大晦日のデートその二

「ですから」
「畑中さんもですか」
「顔の相それに手相もです」
「そちらもですか」
「見てもらいまして」
 そうしてというのだ。
「言ってもらいました」
「百二十歳までですか」
「健康に生きられると」
「それで、ですか」
「百歳までです」
 そのお歳までというのだ。
「働き鍛錬をしていきたいです」
「そう思われていますか」
「左様です。そして百歳を越えても」 
 それでもというのだ。
「まだです」
「働きたいんですか」
「鍛錬もしたいです」
「そうですか」
「おそらく毎日あの木刀で素振りをしていることが」 
 その畑中さんの鍛錬のことだ、十一キロの木刀を毎朝千回二千回と振ってスクワットも同じだけするそれをだ。
「私の身体を丈夫にしてくれています」
「凄い鍛錬ですからね」
 正直信じられないレベルだ。
「畑中さんのそれは」
「直新陰流の鍛錬は」
「十一キロですよ」
 普通の木刀の十倍近い重さか。
「それを千回二千回って」
「それをもう七十数年、復員してからは毎日です」
「されていますか」
「雨の日も雪の日も」 
 休むことなくというのだ。
「しています、それがです」
「畑中さんの健康を維持していますか」
「そうかと」
「左様ですか」
「ですから」
 それでというのだ。
「百歳まで、そして百歳を越えても」
「続けられますか」
「身体を動かすと鍛えられて」
 そしてというのだ。
「また多くのものを食べて新陳代謝もよくなるので」
「余計にいいですね」
「そうかと。ですから」
「健康になるんですね」
「この歳になっても」
「毎日していますと」
「お陰で大きな病気になったこともありません」
 それすらないというのだ。
「ですから」
「これからもですね」
「続けていきます」
「そうされますか」
「明日もです」
 元旦もというのだ。
「そうしていきます。では今宵は」
「これで、ですね」
「お別れですね。よいお年を」
「はい、よいお年を」
 僕も笑顔で応えた、そうしてだった。
 香織さんのお部屋に向かって迎えに行った、だが香織さんのお部屋の前に来ると扉が開いてそこからだった。
 白い丈の長いコートと赤いロングスカートとマフラー、やはり赤い帽子という格好の香織さんが出て来た。そうして僕に言ってきた。
「今から義和のところに行こうと思ってたの」
「そうだったんだ」
「けれど迎えに来てくれたのね」
「今から行こうってね」
「待ち合わせしてたけれどね」
「何かいてもたってもいられなくて」
 一緒に行くことがだ。 
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