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ドリトル先生と幸せになる犬

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第八幕その九

「おかしな人達だからね」
「そんなおかしな人はいても」 
 それでもと言うジップでした。
「大抵の人はそうだね」
「言うなら親を愛するのと同じだね」
「そうよね」
 チープサイドの家族は祖国愛を親への愛情と同じとしました。
「相当おかしな人でないと自分の親を愛するよ」
「若しくはその親御さん達が相当おかしくないとね」
「だからその人か祖国が相当おかしくないと」
 老馬も言いました。
「普通は自分の国を愛するね」
「日本の知識人の中にはソ連や北朝鮮が心の祖国だった人がいたそうだけれど」
 それでもと言うトートーでした。
「本当におかしな人だしね」
「まあおかしな人もいるわ」
 ガブガブは一言で言い切りました。
「世の中にはね」
「そうした人は置いておいて」
 老馬はこう言いました。
「普通の人はね」
「自分の国を愛して」
 チーチーが続きました。
「そして親もだね」
「そう、両方愛するね」
 ダブダブはまさにと言いました。
「普通は」
「そうだよ、だから僕はイギリスが愛していて」
 日本にいてもとです、先生は言いました。
「そして両親もね」
「お亡くなりになったけど」
「そうだよね」
「愛情を持ってるね」
「今も」
「そうだよ、大事にしてもらって愛してもらったから」
 それでというのです。
「愛しているよ」
「イギリスもご両親も」
「そうだね」
「そうしているね」
「そして愛しているなら裏切らなくて」
 そうしてというのです。
「ずっとね」
「想ってね」
「慕うよね」
「そうだよね」
「そうだよ」
 動物の皆にも答えます。
「本物の愛情を持っているとね」
「それならだよ」
 ここで王子がお部屋に入ってきました、実は先生のお家にさっきからいましたがおトイレに行っていて今戻ってきたのです。
「ふわりは前の飼い主の人達を裏切らなかったね」
「そうだよ」
 その通りとです、先生も答えました。
「彼女はね」
「そうだよね」
「犬は人を裏切らないというけれど」
「それはその人を心から愛しているからだね」
「だからふわりもね」
 彼女もというのです。
「裏切らなかったよ」
「そうだったんだね」
「今の家族の人達もね」
「裏切らないね」
「何があってもね」
「愛情があったから、けれど」
 ここで王子は自分の座布団の上に座ってそうして深刻なお顔で言いました。
「前の飼い主の人達はね」
「実はふわりを全く愛していなかったからね」
「おもちゃでしかなかったから」
「おもちゃで遊んでいるだけでね」
「愛情なんてだね」
「実は全くなかったんだ」
 そうだったというのです。 
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