DOREAM BASEBALL ~夢見る乙女の物語~
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彼女たちの日常
前書き
減量の疲労で創作意欲が落ちておりました。
また少しずつ頑張っていきたいと思います。
第三者side
日が高く登り始める昼頃。昼食を終えた少女たちは襲ってくる睡眠欲と格闘しながらノートを取っていた。
「ふわぁ……」
思わず出てしまったあくびを手で隠しながら目を擦る水色の髪をツインテールに束ねた少女。彼女の周りにいる少女たちも同じようにしているものもいれば、目を閉じて体が揺れている者もいた。
(あ~あ……早く終わらないかな)
退屈な授業に集中しきれずにいる少女は外に目をやる。そこにいるのは上級生たちのようで、サッカーボールを追いかけていた。
(いいなぁ……私も早く体を動かしたいなぁ……)
初めてやれた先輩たちとの練習が相当楽しかったようで、莉愛はその事が忘れない様子。先生の声はまるでその耳には届いていないようで、ただ静かに外を眺めて呆けている。
(今日は何するのかなぁ……あぁ……早く部活したいなぁ……)
心ここにあらずの少女。彼女がこの後教師から怒られるのはいうまでもないのだった。
「スゥ……スゥ……」
所変わって二年生の教室。ここでは教壇の目の前の席で隠すこともなく、机に突っ伏している赤髪の少女。
「……皆、叩いていいと思うか?」
「「「「「どうぞ」」」」」
タメ息を付きながら彼女の頭を叩く真田。その衝撃で優愛は目が覚め、慌てて飛び起きる。
「痛ぁい!!体罰ですか!?」
「お前……せめて顧問の授業くらいはしっかり受けたらどうだ?」
普通は自身が所属している部活の顧問の授業だけ目が覚めている生徒はいるが、逆はなかなかいない。そう思い真田はそう言ったのだが、彼女はなぜか得意気に胸を張っていた。
「私はそういうので差別しないので!!」
「そんなに元気に言うなよ……」
そこまで元気に答えられると返すのも面倒くさくなってしまうのか、諦めたようにタメ息を付くと、そのまま授業に戻ってしまう。
(今日の練習……大変なことになりそうだな……)
その様子を見ていた明里はこの後の練習で無茶振りをされるのではないかと考え、うんざりとした表情を浮かべていた。
「ーーーで、あるからしてーーー」
こちらは三年生の教室。受験生ということもあり、寝ている生徒やボーッとしている生徒がいない緊張感が教室に張り詰めている。
カッカッカッカッ
ただ、その中でもやはり差はある。チームでも中心人物に挙げられる陽香と莉子は教師の板書を細かく……さらには見易くノートに取っている。
一方の栞里と伊織はというと……
「あ!!」
「ん?どうしました?新田さん」
「いえ!!何でもないです!!」
教師が首をかしげながら背を向けると栞里は隣の席にいる伊織を睨む。それに彼女はどや顔で返してみせると、机の下で何かを弄っている。
「ちょっと……少しは手を抜いてよ」コソッ
「あれ?降参ですか?」コソッ
「誰がするか……」コソッ
周りに聞こえないくらいの声で話をしている二人の手には古いタイプのゲーム機が握られている。実は二人はお昼ごはんを賭けてゲームで対戦していたのである。当然ではあるが、ノートは取っていない。
「あぁ~!!」
「新田さん!!」
「すみませんでした!!」
負けてしまったことで絶叫の栞里。お昼を奢らされる上に教師からも怒られまさに踏んだり蹴ったりになっていた。
その頃……
「町田先生、またそれを見てるんですか?」
多くの教師が授業のために席を外している東英学園の職員室。その時間は授業が入っていなかった監督の青年はスコアブックを眺めていると、後ろから同僚に声をかけられる。
「えぇ。データはあるに越したことはないですからね」
「あまり無理しないでくださいね。授業もあるんですから」
「ありがとうございます。気を付けます」
爽やかな笑顔で返答する町田。若いことや締まった体をしていることから若い女性教諭や生徒からも人気が高い彼と会話ができ、彼女は嬉しそうに離れていく。
「チッ……うっせぇな」コソッ
しかし、彼の腹の中を把握しているものは誰一人いない。
(明宝はまた陽香頼りの守りだろうな。となると打撃陣をいかに抑えるかが勝負の鍵か)
そう考えつつも、彼の中では戦い方は既に決まっている。相手のやり口がわかっているからこその自信と言えるのかもしれない。
(真田監督は自分を曲げないからな。もっと柔軟だったら、甲子園の名将として取り上げられただろうに)
不意に思い出す彼の背中。その頼りになる背中を思い出す度に、尊敬と苛立ちが立ち込めてくる。
「もっと期待に答えてくれよ、監督」
後書き
いかがだったでしょうか。
簡単な日常と東英との因縁を少し出してみてます。
また時間がかかるかもですが、温かく見守ってくださいm(__)m
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