提督はBarにいる。
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艦娘と提督とスイーツと・80
~利根:フ〇ーチェ~
「おい利根、お前本当にこれ食いきれるか?」
「無論じゃ。儂に二言は無いぞ!」
今回のチケット当選者は利根。注文は牛乳と混ぜるとぷるぷるのデザートになる〇ルーチェ(イチゴ味)だ。流石にこれは俺も再現できないんで、素直に素を買ってきたがな。問題はその量。
「いくら好きだからって、修復剤のバケツ一杯分は食べきれんだろ……」
「何を言う!こんなぷるぷるとして腹に溜まらなそうな物、幾らでも食えるのじゃ。見ておれ!」
そう言って早速バケツ一杯のフルー〇ェに挑みかかる利根。
「しかし、不思議じゃのう」
「ん?何が」
「何で〇ルーチェは、牛乳と混ぜるだけでこんなぷるぷるに固まるのじゃ?」
「あ~、それはな。牛乳に含まれるカルシウムとフ〇ーチェに入ってるペクチンとのゲル化反応だ」
ペクチンってのは果物に含まれる多糖類の1種でな。ジャムのとろみの元になっている成分だ。こいつがカルシウムと反応するとゲル化……つまりはゼリー状に固まる性質があってな。それを利用したお菓子がフルー〇ェって訳だ。
「う~む、よく解らんが……とにかく牛乳と混ざると固まる不思議成分なんじゃな!」
「まぁ、そんな感じだ」
利根に小難しい事を説明しても理解できるとは思えんしな。このくらいで丁度良いだろう。ちなみにだが、カルシウムの含有量が足りない豆乳や成分調整乳とか乳飲料と書かれた牛乳『のような』飲み物だと、固まらなかったり味が多少変わったりする事があるので気を付けよう。
~利根、食べ始めてから5分後~
「おんやぁ?ペース落ちてるなぁ利根」
「な、何を言うか!まだまだ余裕じゃあ!」
~更に5分後~
「どうしたどうした、手が止まってんぞ?」
「うぐぅ……まだじゃ、まだ儂は負けておらぬぞ…………!」
~更に5分(ry~
「…………そろそろギブアップか?」
「す、すまぬ。もう限界じゃ」
うっぷ、と言いながら口を抑えている利根。それでもバケツ一杯分の内、4割は平らげてるからまぁ……無理はしつつも頑張った方だろう。
「さて、残りは……妖精さん、カモン!」
『は~い!』
俺の掛け声と共にワラワラと湧いてきた妖精さん達。こうなるだろうと見越して、予め準備しておいたのサ。次々とバケツにダイブしていく妖精さん達。文字通り浴びるように食ってるな。
「さて、アレンジしたのはどうするか……」
実は、普通に作っただけのフルーチェだけ出しても味気無いからと、フルーチェを使ったアレンジレシピを幾つか準備していたんだが……当の利根がこの状態じゃあなぁ。
「てーとくさんてーとくさん」
「しんさくおかしあるです?」
「あるならしょもうしますです」
「てーとくさんのあま~いあま~いごほうびあるです?」
「……まぁ、食わせようと思ってた奴が食えそうにないしな。捨てるよりは食っちまうか」
「「「「「やったー」」」」」
さて、休憩……にはちと早いが、フルーチェパーティとしゃれこもう。
フルーチェアレンジその1:生クリームフルーチェ
その名の通り、牛乳200ccで作る所を牛乳と生クリーム100ccずつで作ったフルーチェだ。牛乳だけで作った物よりも口当たりがクリーミーで、濃厚な味わいに感じる。
「とろとろうま~ですー」
「さっきのよりのうこうなあじわいです?」
「うまうまうまうま~」
「これは手軽でいいな。普通に作るより美味いし」
※ワンポイントアドバイス!※
使う生クリームは脂肪分35~45%位の物を使いましょう。
フルーチェアレンジレシピその2:ババロア風ケーキ
オレオとバター、それにフルーチェと生クリーム、牛乳、ゼラチンを用意するとババロア風のケーキが簡単に出来るんだよ。
まずはケーキの土台から。ポリ袋にクリームを取り除いたオレオをいれて、麺棒等で細かく砕く。別の種類のクッキーやビスケットでも良いが、試した中ではオレオが一番美味かった。取り除いたクリームは後から使うので捨てないように。……舐めるのも駄目だぞ?
レンジでバターを溶かし、砕いたオレオと混ぜる。混ざり合って固まって来たらケーキ型に入れて、平らになるように底に敷き詰める。力を入れて固まるように押し付けるのがポイントだ。
生クリームにさっき取り除いたオレオのクリームを加えて角が立つくらいまでしっかりと泡立てる。その間にゼラチンを水でふやかしておく。
フルーチェに牛乳100ccを加えて作り、ふやかしておいたゼラチンをレンチンして溶かして加える。混ざったら泡立てておいた生クリームに加えて更に混ぜる。
フルーチェと生クリームがちゃんと混ざったら、オレオを敷き詰めたケーキ型に流し込み、表面を均す。後は冷蔵庫で固まるまで冷やしたら完成。ゼラチンを加えた事でしっかりと固まって、本当にケーキのようになる。オーブンを使ったりはしないので、小さい子供に作らせるにも安心だ。
「ふわふわひんやりうまぁ~」
「ぷるぷるしてませぬが?」
「これはこれで」
「あまいからなんでもええがな」
味はフルーチェなんだが、ねっとりとしたレアチーズケーキのような口当たりが面白い。意外と簡単に作れるので、試しに作ってみてくれ。
フルーチェアレンジレシピその3:フルーチェアイス
フルーチェに生クリーム100cc、牛乳大さじ3、プレーンヨーグルト大さじ1を加えて混ぜて、アイスの型に入れて凍らせるだけ。凝固剤のペクチンが入ってるから、ただジュースを凍らせるよりも市販のアイスのような感じになる。
「アイスうまぁ~」
「いろんなフルーチェでいろんなあじができるです?」
「あぁ、混ぜて凍らせるだけだから手軽だしな」
「手作りアイスのほうせきばこやぁ~」
もう彦〇呂さんも言ってないと思うけどな、宝石箱。
フルーチェアレンジレシピその4:フルーチェケーキ
さっきはババロア風の焼かないケーキを紹介したが、こっちはホットケーキミックスとフルーチェを使って出来るベイクドケーキだ。ホットケーキミックス200gに、フルーチェ1袋、溶かしたバターを50~100g、卵1個を混ぜ合わせて生地が出来たら150℃に余熱したオーブンで
40分焼く。もっと手軽にやるなら、しっかりと洗って内釜に薄くサラダ油を塗った炊飯器に生地を入れて普通に炊飯するとケーキが焼けるぞ。
「けーきはよそうがい」
「でもうまぁ~」
「クリームやフルーツでかざりつけです?」
デコレーションしなくても、十分美味いけどな。
「て、ていとくぅ~……」
「ん?どうした利根、ゾンビみたいな呻き声上げて」
「妖精さんばかりズルいのじゃぁ~……儂にもくれぇ」
寝転がっていたソファから転げ落ちると、そのままズリズリと這ってくる利根。小刻みに震えながら右手を伸ばしてくるその姿は正に、獲物を求めるゾンビのようだ。
「駄目ですよ?姉さん」
「「ち、筑摩!?」」
いつの間に執務室に入ってきていたのか、利根の背後には筑摩がいつもの微笑みを浮かべて立っていた。
「さっきまで食べ過ぎで苦しんでいたのに、利根姉さんたらいやしんぼさんなんですから……。これは『お仕置き』が必要ですね?」
「ヒイッ!?」
筑摩の『お仕置き』という単語を聞いた瞬間、利根が青ざめる。
「提督、ご迷惑をおかけしてすいません」
「あぁいや、別にいいんだが」
「さぁ利根姉さん、行きますよ?」
「イヤじゃあああぁぁぁ!お仕置きはイヤじゃあああぁぁぁ!」
筑摩の襟首をむんずと掴んで利根を引き摺って行く筑摩。引き摺られている利根は注射を嫌がる子供の様に泣き喚いている。
「あ~、筑摩?」
「…………はい?何でしょう」
「その……お手柔らかにな?」
俺がそう言うと、筑摩はニッコリ笑って
「お任せ下さい。『いつもの』事ですから」
そう言い残し、執務室を去っていった。執務室に残った俺と妖精さん達は顔を見合せて
「筑摩、コワイ」
と言い交わしてブルリと身体を震わせた。
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