八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三百三十話 年越し蕎麦その四
「それで、だよ」
「そうだな」
「本当に羨ましいとはね」
「思わないな」
「全くね」
もうそれこそだ。
「思わないよ」
「そうだな、じゃあ俺は母さんとおせち食ってな」
「僕はお蕎麦食べて」
そしてだ。
「その後で出店でね」
「色々食ってくるか」
「そうするよ、たい焼き食べて」
そしてだ。
「たこ焼きもクレープもフランクフルトもね」
「おい、チョコバナナもだろ」
親父は笑ってこれもと言ってきた。
「忘れるなよ」
「親父チョコバナナ好きなんだ」
「林檎飴も好きでな」
それでというのだ。
「それでだよ」
「チョコバナナもだね」
「日本の出店もまた独特でな」
「美味しいんだね」
「出店っていうと台湾だけどな」
こちらは街に普通に夜店が出ている、台湾の人達の多くはそこで晩ご飯を食べるのだ。そして飲みもする。
「日本のそれもな」
「捨て難いね」
「イギリスはここでもあれだけれどな」
「駄目なんだね」
「やっぱりな」
この国はというと。
「食文化についてはな」
「イギリスは駄目なんだ」
「最近よくなったけれどな」
それでもというのだ。
「まあ日本人から見ればな」
「そういうことだね」
「夏目漱石さんはロンドンで鬱病になっただろ」
それで死んだのではと言われる位だったという。
「馴染めないで色々思ったせいだが」
「食べものでもかな」
「絶対に合わなかったな」
「何かジャムとかアイスが好きだったんだよね」
「甘党だったんだよ」
「それで糖尿病でもあったんだよね」
伝え聞くところによるとだ。
「そうだったね」
「そんな漱石さんにイギリス料理出してみろ」
「怒るから」
「あの人DVだったからな」
奥さんや子供に暴力を振るっていたらしい、特に息子さんの一人をステッキで滅茶苦茶に殴ったという今だと洒落にならない話もある。
「だからな」
「それでだね」
「殴られるかもな」
「それは嫌だね」
僕にしてもだ」
「かなり」
「誰だって嫌だろ」
「それはね」
「そうなりかねない位にな」
「イギリス料理は今も駄目なんだ」
「この前イギリスで仕事あったんでプティングとか食ったんだよ」
日本だとプリンになる。
「これがな」
「まずかったんだ」
「期待通りにな」
「期待していたんだ」
「喫茶店で食った、紅茶は美味かったけれどな」
それでもとだ、親父はさらに言ってきた。
「ティーパックのミルクティーな」
「ティーパックだね」
「それでも美味かったけれどな」
紅茶はというのだ。
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