| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

おっちょこちょいのかよちゃん

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

154 容赦なき金属攻撃

 
前書き
《前回》
 ゆりの助力でコノート公の軍を撃破したすみ子達はエレーヌによってジャンヌを召喚され、彼女達と同行して奪われた領土を攻め込む仕事を行う事とする。多くの者が戦いでの仕事を進めようとするのであった!! 

 
 かよ子達は一人の行方不明の男子がいると思われる方角を進む。
「おお、まる子、綺麗な眺めじゃのう~」
「うん、限りない地平線が綺麗だよお~」
 しかし、大野が文句を言う。
「何言ってんだ、俺達は遊覧飛行してんじゃねえんだぜ」
「ももこちゃん、気が抜けすぎてるよ!」
 のり子も旧友に呆れて叱責する。
「ご、ごめん、ごめん・・・」
「さくらももこと言ったか。弛んどるぞ!責任を持って務めに励まんか!それからそこの老人!」
 次郎長は友蔵を呼ぶ。
「は、はい!」
「お主はただ来ておるだけであり、引率の役目にもなっておらん!」
「す、すみませんでした、親分!!」
 友蔵がなぜか時代劇のような(ひざまず)き方をした。
「それに近づいて来てるぜ、奴等が!」
 無数の銀の槍が攻撃してきた。
「ぎえええ!!死ぬ~」
 それまで呑気だった友蔵も猛烈な悲鳴を挙げて(うずくま)った。
「連中か!」
 かよ子は下を見た。軍隊がこちらを狙っていると解った。
「皆の者!戦闘の準備だ!」
「え、えいえいおー!」
 友蔵は場違いな掛け声を出した。

 本部の一室。かよ子の母は藤木救出班の行方を辿ると、また敵にぶつかった様子を発見した。
「かよ子達の所にまた敵が・・・」
「はい、しかも、敵の世界ですから更に激しい戦闘になりますでしょう」
 フローレンスは通信道具を取り出す。
「こちらフローレンス。領土攻撃班で北東の方角にいます方。藤木茂君救出班が敵と当たりました。彼女らの援護をお願い致します」
『了解』
 女性の声が聞こえた。

 かよ子はあの銀の槍に杖を向けて試みた。
(確か金属なら使える・・・!!)
 そして杖の使い方の一節を思い出す。

【金属の物質に向ければ金属類を自在に操る能力を得られる】

 かよ子の杖は白金の巨大な盾と化した。そして銀の槍を跳ね返す。
「オイラもやるブー!」
 ブー太郎も洪水の如く水を噴射させて相手を押し流す。しかし、機械から出した武装の能力(ちから)で無力化された。だが、それはブー太郎からして、敵のいる方向を示す鍵ともなった。
「あそこだブー!」
「よし!」
 関根は刀で円を描く。描いた円から遠くにいる相手がルーペの如く近くに見えた。
「これで何をしているのか見えるぞ!」
「お前もその人形でやるブー!」
 ブー太郎はのり子に依頼した。
「うん!キャロライン!」
「了解!」
 のり子の人形が念力を発する。相手の兵の機械を次々と破壊した。
「接近するよ!」
 かよ子は皆に呼び掛けた。そして皆は敵の隊に突入した。椎名が玉を使い、大波を出し、兵を蹴散らす。そして大野が茨の槍で相手を突き刺した。
「うおお!」
「機械が壊されたぞ!」
「チッ!」
「貴様ら、だからと言って怯むな!」
 その時、関根が刀で突風を出し相手を薙ぎ払った。
「お前ら、邪魔だよ!」
「なんだ貴様!?」
「ボクちゃんかい?キザな男、関根金雄様だよ」
「関根、カッコつけてる場合じゃねえぞ!」
 椎名が呼ぶ。
「あいよ!」
 関根と椎名は前に立つ。
「貴様ら、この世界の人間ではないな?」
 隊長と思われる人物が現れた。
「そうだが。一つ質問しよう。藤木茂という少年を捜しているが心当たりはないか?」
「知るわけがなかろう」
「クローマー伯爵様!後ろから別の敵が!」
「何!?」
 クローマー伯爵と呼ばれた男は後ろを振り返った。子供が数人、そして老人が一人、さらに日本刀を持った集団が現れた。かよ子達はのり子の人形の能力(ちから)で椎名と関根が喋っている隙に瞬間移動していたのだった。
「えい!」
 かよ子の杖が鉄の槍となってクローマー伯爵の兵に襲い掛かる。対して兵たちは楯で防御した。次郎長一派も対抗する。だが、兵達も無数の槍や剣を分裂させるように増やして対抗した。
「こうなったら!」
 大野が草の石で花を出した。花粉が放出される。
「てめえら眠りやがれ!」
「そんな手が通用すると思うか?」
 クローマー伯爵は強大な白金の丸屋根を出して大野が出した花を閉じ込めた。同時に大野達も閉じ込められる。
「大野君!」
 かよ子は振り返ったが、そこで転んでしまった。とんだおっちょこちょいをやってしまった。
「山田かよ子!」
 かよ子は起き上がると、兵が一人、かよ子に近づいていた。かよ子は鉄の槍を楯に変化させて守った。
「ほう、あの小娘、あの最強の杖をもっているのか」
 クローマー伯爵が近づいた。
「貰うぞ、その杖!」
「させるか!」
 大政が槍でクローマー伯爵を突きそうとした。

 大学生程の女性二名はとある女性の兵と行動を共にしていた。
「敵の地にいる少年の救出部隊へ援護の要請か」
「ああ、そうや」
「向かうぞ。確かその部隊には杖の所有者もいると聞く。我が兵の馬に乗りなさい」
「はい。明日香、行くで!」
「うん!」

 大政が刀でクローマー伯爵を刺す。しかし、クローマー伯爵は無傷だった。
「貴様!?、何の防御の術だ!?」
「私は様々な金属を操られる事を知っているのかね?」
 クローマー伯爵は大政を斬りにかかる。その時、関根が国定忠治の刀で横入りして大政を守った。
「全く隙のない奴だな」
 関根の刀はクローマー伯爵の剣と渡り合ってはいた。
「だが、私の武器は幾つにも増やせるのだぞ」
「何!?」
 クローマー伯爵は銀の槍を出して飛ばす。
「関根!」
 椎名は水を出して槍を押し流した。
「私も!」
 かよ子は楯を剣に変化させて一騎打ちしている兵を斬ると、クローマー伯爵と交戦している関根の元へ向かった。次郎長や石松も来る。
「山田かよ子!某達も助太刀するぞ!」
「ありがとう!」
「数を増やして私をやろうとしても無駄だ!」
 クローマー伯爵は無数に槍を増やしてかよ子達を攻撃する。その時だった。
「そこやな」
 どこからか別の人の声がした。そしてまた別の兵が現れる。クローマー伯爵の兵をなぎ倒す。その中に二人の大学生程の女性が現れた。
「アンタら、大丈夫やったか!?」
 大阪弁で喋る女性に会った。
「はい、ありがとうございます」
 かよ子は礼をした。
「私達は援護に参った。お前が杖の所有者か。私はラクシュミー。こちらはお前と同じ世界から来たりし上市明日香(かみいちあすか)高田(たかだ)あやだ。共に戦おう」
「はい!」
「ラクシュミーとやら。援軍感謝する!」
 次郎長も礼の言葉を放つ。
「何を、数が増えた所で勝てると思うな!」
 クローマー伯爵はラクシュミーにも牙を向ける。
(せっかく助けが来てくれたんだ・・・。無駄にできない・・・!!)
 その時、通信機から声がした。
『こちら、ブー太郎だブー!山田、聞こえるかブー!?』
「ブー太郎!?」 
 

 
後書き
次回は・・・
「勇ましき王妃、ラクシュミー」
 クローマー伯爵が出した白金のドームに閉じ込められた大野達は脱出できずにいた。そんな時、ラクシュミーは外側からそのドームを破壊しようと試みる。クローマー伯爵の優勢が続くのか、それともかよ子達が形勢逆転になるのか・・・!? 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧