八条学園騒動記
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第六百二十七話 変わらないモンゴル人その四
「洗濯しないで、洗濯したら罪だってね」
「されていたの」
「お肉を焼くことと同じで」
「罪なの」
「昔はそうだったのよ」
「チンギスさんの頃は」
「いや、私が言うのも何だけれど」
モンゴル人である自分がというのだ、ナンは自分がモンゴル人であることを強く意識していて誇りに思っているのだ。
「昔はね」
「過酷な生活だったのね」
「ええ、それでね」
ここでナンはコゼットに自分から言った。
「一ついい?」
「どうしたの?」
「ここでずっと立ち話もあれでしょ」
微笑んでの言葉だった。
「それは」
「ああ、だからなのね」
「場所を変える?」
「そうね」
コゼットもそれならと頷いて応えた。
「それじゃあ」
「それでね」
「お話の続きをするのね」
「そうしましょう、モンゴル料理のお店にでも行って」
「ああ、あったわね」
コゼットは言われて気付いた。
「乗馬部がやってた」
「やっぱり馬っていうとよ」
「モンゴルね」
「私も毎日乗ってるし」
通学に使っていて普段の移動にも使っている、ナンは自転車には乗らずそちらで移動をしているのだ。
「今もね」
「乗ってる人が多いのね」
「もう乗馬の授業だってあるし」
モンゴルにはというのだ。
「馬に乗れないとモンゴル人じゃない」
「そうも言われているの」
「草原で二本足で歩く人はいないわ」
モンゴルではそうだというのだ。
「もう皆ね」
「馬に乗ってるの」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「モンゴル人の足は四本なのよ」
「馬の足ね」
「ええ、じゃあ乗馬部のお店に行きましょう」
こう言ってだった。
ナンはコゼットを乗馬部が開いているモンゴル料理の店に入った、そのお店では羊料理が売られていたが。
その料理を見てだ、ナンは一緒に二人用の席に座るコゼットに言った。
「こうして茹でたのがよ」
「本来のモンゴル料理ね」
「そうなの」
まさにというのだ。
「実はね」
「焼かないのね」
「そう、茹でて」
そしてというのだ。
「味付けもね」
「塩茹でで」
「他には多少香辛料を使うね」
「シンプルなものなの」
「そうなの、それで」
ナンはさらに話した。
「乳製品よ」
「馬のお乳ね」
「モンゴルでは基本農業はしないから」
遊牧をするからだというのだ。
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