迷子のチワワ

　　　　　　　　　　　　　　　　迷子のチワワ
　井上颯太と関百合香は小学校の時からの幼馴染みで今は同じ高校で同じクラスである。とても仲がよく交際にまで至っている。
　颯太は茶色の耳の下位で切り揃えた髪の毛と猫を思わせる穏やかな顔立ちの一六八位の背の少年である。百合香は黒髪を長く伸ばしていて大きな明るい目で胸がある。背は一六二程だ。二人共夏の制服でラフな感じだ。ブラウスは白だがネクタイは青でズボンやスカートの色はグレーだ。
　その二人が学校の帰り道下校デートを楽しんでいると。
　途中の川辺の土手で颯太は一匹の犬を見付けた。
「あれっ、チワワだね」
「ええ、そうね」　　
　百合香もその犬に気付いた。
「あの子は」
「白い長い毛が奇麗だけれど」
「迷子かしら」
「みたいだね、首輪があるしね」
　颯太は犬のそのことにも気付いた。
「だったらね」
「捨て犬じゃないわね」
「助けよう」
　颯太はすぐに結論を出した。
「そうしよう」
「それじゃあね」
「こっち来て」
　颯太が犬に声をかけるとだった。
　犬は颯太を見て軽く唸って怖い顔になった。
「ウ～～～・・・・・・」
「俺を警戒してる？」
「みたいね、颯太って実は強いから」
「骨法してるだけだよ」
「その骨法が滅茶苦茶強いから」
　それでというのだ。
「何もしなくてもね」
「威圧感あるんだ」
「だからよ」
　そのせいでとだ、百合香は颯太に話した。
「いつも怖がられるのよ」
「それが残念だよ」
「そうね、けれどね」
「犬が警戒するなら」
「私が保護するわね」
　こう言ってだった。
　百合香が行こうとしたがここで。
　二人の後ろから威勢のいい感じの黒髪の一七三位の背の颯太と同じ制服を着た少年が出て来て言ってきた。二人のクラスメイトであり颯太の悪友中村修太朗である、
「何だ？犬じゃねえか」
「あっ、修太朗」
　颯太は彼を見てその名を呼んだ。
「いたんだ」
「近くのクレープ屋に行くところだったんだよ」
　その彼修太朗は颯太にこう答えた。
「それでここに来たんだよ」
「ああ、八条クレープだね」
　颯太はそのクレープ屋が何処かすぐにわかった。
「あそこにだね」
「全国チェーンしていてな」
「この辺りにも出来たね」
「美味いって評判kだからな」　
　それでというのだ。
「これからな」
「行くんだ」
「そうなんだよ」
「それでここにいるんだ」
「ああ、それでその犬どうしたんだよ」　
　修太朗は颯太に問うた。
「一体」
「いや、今会ったんだけれど」
　颯太は修太朗に素直に答えた。
「迷子みたいだね」
「迷子？だったら放っておいたら駄目だな」
　すぐにだ、修太朗はこう判断した。
「それじゃあ保護しないとな」
「修太朗がそうするんだ」
「お前あれだろ」
　修太朗は颯太を見て言った。