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ドリトル先生と幸せになる犬

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第三幕その八

「ご飯も一日一回入れて。何も言わないでざっと入れて終わりで」
「ミルクはどうかな」
「お水になったわ、食器も洗ってもらえなくなって」
「これまでは洗ってくれたんだね」
「いつも奇麗にね」
 そうだったというのです。
「それが全然でケージの中はクッションもベッドもなくて」
「固くて冷たかったね」
「私はそこで寝ておトイレも」
「お掃除もあまりだね」
「そうなって。私はここだよって幾らママとパパに言っても」
 それでもというのです。
「応えてくれなくて時々赤ちゃんが泣いたって」
「怒ってきたんだね」
「話し掛けるのはそれだけになって」
 怒るだけになってというのです。
「赤ちゃんが泣いたことを知らせても」
「怒られたね、君は」
「ええ・・・・・・」
 ふわりは先生に項垂れて答えました。
「私ママとパパの役に立ちたかったのに」
「怒られて」
「どうしたらいいのって思って」
「困ったね」
「ママが怒った、あんな怖い顔はじめて見たし」
「そんなに怒ったんだね」
「それでママが困ってるって思って」 
 それでというのです。
「ママにもパパにも御免なさいって」
「君は思ったね」
「泣いて。それでその夜ママが朝から晩まで吠えて五月蠅いったらありゃしないってお仕事から帰ったパパにお話してたの」
「そうだったんだ」
「赤ちゃんもママも困るって。赤ちゃん生まれたばかりなのに」
「それでパパはどうママに応えたのかな」
「わかった、何とかするよって」
 その様にというのです。
「答えて次の日ね」
「どうなったのかな」
「久し振りにケージから出してもらって」
「そしてだね」
「ケースに入れてもらって」
「遠くにお散歩に行くって思ったね」
「ええ。車に乗せてもらって」
 そしてというのです。
「行くかなって。ママと赤ちゃんも一緒だったし」
「ママとパパはその時君を見たかな」
「ケージから出してくれてケースに入れてくれたら」
 そうしたらというのです。
「もう全然だったわ、後ろの座席にケースごと置かれて」
「全くだね」
「私の方を見ないで」
「君をだね」
「ええ、何か暗くて寒い場所に連れて来て」
「ママはどうしたのかな」
「赤ちゃんを抱いてどっかに行ったわ」
 そうしたというのです。
「それでパパが若い男の人にね」
「お話したね」
「私の性格が変わって」
 そうしてというのです。
「朝から晩まで吠えて」
「赤ちゃんが産まれたばかりでだね」
「ええ、それでね」
「ママも赤ちゃんも参ってだね」
「もういらないって言って」
 そうしてというのです。
「私を置いてパパも何処かに行って」
「君はケースから出されてだね」
「暗くて寒い寒い場所に出されて」
「置いて行かれたね」
「必死にママとパパをずっと呼んだけれど」
 ふわりは泣いて言いました。 
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