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夢幻水滸伝

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第二百八話 ハノイの女傑その八

「先生といっても理事長兼校長に」
「まさに最高責任者になったんやな」
「そこからホー=チ=ミン全体の統治もしていました」
「それも星のモンやからやな」
「はい」
 まさにという返事だった。
「そうでしたが」
「そこで言葉過去形なんはどうしてや」
「まだ統治は続けていますが」
「それでもかいな」
「今はこちらにお邪魔させて頂きました」
 こうズーに言うのだった。
「そうさせて頂きましたがその理由は」
「どないしてや」
「貴女の噂を聞きまして」
「あたくし様が美少女とかやないな」
「お顔よりもその行いが」
 こちらがというのだ。
「噂になっていまして」
「どんな噂や、具体的に」
「猛々しいと」
 その様にとだ、カイはズーに直接話した。
「あまりにも」
「そんなに猛々しいか?あたくし様」
「サイオニックで格闘されたり屋敷ごとヤクザ者を倒したり」
「そうしたことがかいな」
「はい、あまりにもです」
「そやからそれはな」
「ベトナムの女性ですか」
 カイはズーが言いたいことを察して自分から言葉を出した。
「そう言われますか」
「ベトナムやとな」
 それこそとだ、ズーはカイに笑って返した。
「女の人強いやろ」
「それを言われますと」 
 カイも否定出来ない顔になって答えた。
「事実ですが」
「徴姉妹からのな」
 事実上のベトナムのはじまりだと言われている、漢王朝の圧政に対してまだ少女だった姉妹を盟主として立ち上がったのだ。
「伝統やろ」
「水から武器を持って勇ましく戦う、ですね」
「喧嘩になれば引っ掻く、噛むで」
「僕もベトナム人でして」
 カイはどうかという顔でこうも返した。
「我が国の歴史も知っています」
「それやったらわかるな」
「はい、ですが」 
 それでもと言うのだった。
「ズーさんは姉妹とはまた別のものをです」
「感じてか」
「訪問させてもらいました」
「そやってんな」
「あの、あまりにも暴れていて」
 それでというのだ。
「無茶苦茶に思えますが」
「そやろか」
「ここはお止めすべきことも多いかと思い」
「ああ、自分それでやな」
「二人でやっていきませんか」 
 ズーにあらためて申し出た。
「ベトナムの統一と統治を」
「そうするんやな」
「そしてそれからのことも」
「二人でやな」
「やっていきませんか」
「一人より二人やな」
「はい」 
 まさにという返事だった。
「そうさせて欲しいのです」
「あたくし様の暴走を止めてやね、けどあたくし様も普段は」
「暴れられませんね」
「お酒飲んでも静かかで」
 酒乱の気はないというのだ。 
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